セリエAの名門で、かつて日本代表MF中田英寿氏も在籍したパルマの破産が確定し、来季はチーム名を変えて4部相当のアマチュアリーグに所属することが決まった。米大リーグ、ドジャースで野茂英雄投手とバッテリーを組んだマイク・ピアザ氏らが、買収を断念した。期限だった22日までに売却はまとまらず、セリエB(2部)登録が不可能になった。

 今季は選手の給与のほか、スタジアムの光熱費や警備費が支払えないほどの財政難に陥り、2億ユーロ(約280億円)以上の負債額で3月に破産宣告を受けた。チームも3度の勝ち点剥奪処分(合計勝ち点7)を受け、リーグ最下位で2部に降格。裁判所が指名した破産管財人の管理下で経営権が競売にかけられたが、買い手はつかなかった。

 クラブOBのクレスポ氏は「このニュースに打ちのめされた。パルマが4部に降格しても、僕はパルマの監督に就任する気持ちはある。来年はパルマを最優先に考える」とクラブ愛を口にした。また、シーズン中に財政難のチームを助けるため、自身が経営するレストランをスポンサーにするなどでチームを支えたドナドーニ監督は「今は深い失望だとしか言いようがない。この街もファンも、こんな仕打ちを受けるに値しない」とショックを受けた。

 なおパルマに在籍する全選手は自由契約となり、他クラブへ移籍しても移籍金は発生しない。一方でチーム名やクラブ施設などすべての資産を引き継ぐことはできなくなったため「パルマ」は消滅。地に落ちた名門クラブは、アマチュアとしてゼロから出直すことになった。

 ◆パルマFC 1913年にパルマに創設。90年にセリエAに初昇格。94-95年シーズンは、MFゾラやFWアスプリージャらを擁してUEFA杯(現欧州リーグ)に初優勝。98-99年シーズンにもDFカンナバロ、GKブフォンの活躍で2度目のUEFA杯制覇を達成。中田が在籍した00年以降もFWアドリアーノらスター選手を抱えていたが、03年に破産。08-09年には2部に降格。翌シーズンに1部に復帰したものの、今季は勝ち点を剥奪され最下位でリーグ戦を終えた。クラブカラーは青と黄色で愛称は「ジャッロブルー」と呼ばれる。本拠地はエンニオ・タルディーニ・スタジアム。

<過去のセリエAクラブ破産>

 ◆フィオレンティナ 02年夏に親会社が破綻し、02-03年シーズンからイタリア4部へ強制降格が決定し。クラブは消滅し、チーム名の使用権も使用不可となり、チーム名を「フロレンティナ・ビオラ」と変更。降格1年目で同クラブは4部で優勝した。03年に「フィオレンティナ」の商標権を入札したことにより、翌シーズンは特例により2部に昇格。6位からプレーオフを勝ち進み、3季ぶり1部(セリエA)に昇格した。

 ◆ナポリ 04年夏に破産宣告で同3部に降格。チーム名を「ナポリ・サッカー」に変更。降格2シーズン目に3部優勝で2部に昇格し、チーム名も「ナポリ」に戻した。2部昇格1年目の06-07年シーズンは、優勝したユベントスに次ぐ2位で1部に昇格した。