J1王者広島が、南米代表のリバープレート(アルゼンチン)に惜敗した。勝てば日本勢初の決勝進出で多くの決定機をつかみながら、後半27分にFWアラリオに決勝点を奪われた。リバープレートは20日の決勝(日産)で、欧州代表のバルセロナ(スペイン)とアジア代表の広州恒大(中国)の勝者と対戦する。過去5位が最高だった広島は同日の3位決定戦に回る。

 あと1歩、及ばなかった。終了の笛が鳴り、広島の選手が天を仰ぐ。互角の戦いを演じながら金星はならなかった。観衆2万133人の3分の2以上がリバープレートのサポーター。発煙筒がたかれ、紙テープに風船、トイレットペーパーが舞った。“アウェー”のような雰囲気で土俵際まで追い詰めながら、日本勢初の決勝進出の夢は消えた。

 勝機はあった。だから、指揮官は悲しげだった。

 森保監督 勝つチャンスはあった。我々は4回決定機を作り、相手の決定機は前半ゼロ。世界の強豪との真剣勝負で体感できたことは糧になるが、惜しいだけで終わりたくなかった。

 エース佐藤を先発から外し、大型FW皆川を先発に抜てき。前半26分に皆川がGKと激突しながら見せ場を作り同31、40分にも決定的な場面を演出。金星への道筋は、先制を許すまでは思惑通りに進んでいた。

 「勝って広島を世界にアピールするんだ」の言葉で団結。手がつけられない相手ではなかっただけに、悔しさが残る。好守を連発しながら、3戦目で大会初失点の1点に泣いたGK林は「あの(失点)場面はパンチングすれば防げた。どんな相手でも、勝利しか満足できない」。MF青山主将も「勝てば何かをつかむことができたのに」と嘆いた。

 Jリーグ・チャンピオンシップG大阪との第1戦(2日)から15日間で5戦目でも、勝ち続けることで得た勢いがあった。金星を逃したのはほんの少しの差。それが日本勢にとって、世界との大きな差だろうか。

 森保監督 サッカー文化の違いは感じました。(相手は)地球の裏側から来て、どこまでもおらが街のクラブを応援する。まだ(日本はJ誕生から)20年そこそこ。その違いはあった。

 決勝進出こそ逃したが、まだバルセロナ-広州恒大の敗者との3位決定戦がある。広島の強さを世界に示す舞台は、残されている。【益子浩一】

 ◆クラブW杯 国際サッカー連盟(FIFA)主催のクラブ世界一決定戦。今年で12回目。欧州、南米などの6大陸王者と開催国リーグ覇者の7チームがトーナメント形式で争う。日本勢の4強は今回の広島で4チーム目(07年浦和、08年G大阪、11年柏)だったが、初の決勝はお預けに。次回も日本で開催される。