59年ぶりの優勝を目指していた韓国が、4強を前にカタールに屈した。0-0で迎えた後半34分に地をはうミドルシュートで先制されると、再開直後の35分にFWファン・ウィジョ(26=ガンバ大阪)が右クロスに右足を合わせ、ネットを揺らす。しかし、線審がオフサイドの旗を上げた。

主将のMFソン・フンミン(26=トットナム)が抗議する中、主審はビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)を採用。確認した結果はオフサイドで、判定が覆ることはなかった。最後はパワープレーを続けたが、ことごとくカタール守備陣の頭にはね返され、試合終了の笛が鳴った。

韓国は、前回15年のオーストラリア大会で準優勝。悔しさを胸に、自国開催だった60年大会以来、半世紀超ぶり3度目の頂点を狙ったが、22年W杯の開催国を相手に力尽きた。

失点する直前の後半32分には、元アルビレックス新潟のDFキム・ジンス(26=全北現代)が左足で直接FKを蹴った。速度、角度とも申し分ないように見えたが、右ポストに嫌われてゴールは割れなかった。

キム・ジンスは22日の決勝トーナメント1回戦バーレーン戦でヒーローになっていた。延長前半6分に途中出場すると、同ロスタイムにダイビングヘッドで決勝弾。2-1の勝利に導いて、この準々決勝は先発起用されていた。

試合後、日本メディアに対して唯一、対応したキム・ジンスは「あのFKは蹴った瞬間、入ったと思ったけど…。悔しい」と日本語で説明し「勝ちたかった」と肩を落とした。ワールドカップ(W杯)には昨夏のロシアまで9大会連続で出場しながら、アジア杯では勝てない。59年間、優勝がない理由について「何でだろう…分からない」とキム・ジンスは首を振った。

3年後のW杯に向けて強化を進め、アジア杯で初めてベスト4進出を果たしたカタールについては「フィジカル、スピードがアジアのレベルじゃない」と他国の成長を認め、そのW杯へ「残念だけど目標を切り替えないと。次はW杯予選を目標にして、頑張っていくしかない」と切り替えた。