イングランドが“宿敵”ドイツを下して、2大会ぶりの8強進出を決めた。

自国開催で優勝した66年W杯決勝以来、イングランドはW杯、欧州選手権の本大会決勝トーナメントでドイツに勝てていなかった。やはり自国開催だった96年欧州選手権は「30年前の再現」を期待されながら、準決勝でドイツにPK戦負け。最後にPKを外したのが、当時25歳のサウスゲート監督だった。

今回、ドイツとの対戦が決まり、舞台も25年前と同じウェンブリー競技場とあって、同監督がリベンジできるか、注目されていた。もちろん約4万5000人の観客のほとんどはイングランドのファンという完璧なホームだった。

21歳のフォーデンが「(96年は)生まれる前のことだから」と話すなど、選手はともかく、サウスゲート監督には重圧でもあっただろう。

そんな大一番で、指揮官はこれまでの4バックから3バックへシステム変更。相手の両サイドからの攻撃を警戒しての策で、これが効果的だった。右のトリッピアーがゴセンス、左のショーがキミヒとのウイングバック攻防戦で奮闘し、相手をなかなか自由にさせなかった。

後半23分に投入したグリーリッシュが2得点に絡んだのも、采配が当たった形だ。同30分のスターリングの先制点の場面ではアシストしたショーをフリーにする動きとパスで貢献、同41分のケーンのゴールは自らアシストした。一方、1次リーグ3試合でわずか2得点で、スターリングとケーンにこだわる姿勢が批判されながらも、ぶれずにこの日の結果につなげた。

サウスゲート監督は試合後「スタジアムに信じられないようなエネルギーがあった」とホームの熱狂を受け、「今日は大きな結果だ。1966年以来ドイツに勝っていなかったのだから」と、黒歴史に終止符を打ったことを実感したよう。

「2点目のシーンは本当に特別な瞬間だった。だけど、我々はまだ達成したいことを達成していない。今日のことを振り返るのは将来でもできる。今は土曜日に焦点を合わせたい」。喜ぶのはつかの間、準々決勝を見据えた。「明かす必要のないことだけど、ロッカールームに入った時、既に我々は土曜日のことについて話していたんだよ」。自信を持って、リベンジに臨んだことをうかがわせた。

◆欧州選手権はWOWOWで全試合完全生放送、WOWOWオンデマンドで全試合ライブ配信される。