マンチェスターUのアレックス・ファーガソン監督(71)が今季限りで勇退することになった。8日にクラブが発表した。今後は取締役としてクラブに残る。後任は発表されておらず、英メディアではエバートンのデービッド・モイズ監督(50)とともに、Rマドリードのジョゼ・モウリーニョ監督(50)の名が急浮上。「スペシャル・ワン」と呼ばれるモウリーニョ監督就任ならマンUは大改造となり、MF香川真司(24)への影響は必至だ。

 27シーズンでリーグ優勝13回、欧州王者2回を果たした「ファーガソン王国」が幕を閉じる。ファーガソン監督が今季限りでの退任を発表した。「大きな決断だ。今が潮時だ」などとコメント。今夏には臀部(でんぶ)の手術を予定しているなど、英紙は健康問題が一因と指摘している。

 多くの英メディアは、後任にモイズ監督とモウリーニョ監督の名を挙げた。ファーガソン監督と同じスコットランド出身で、指導歴は英国一筋のモイズ監督はエバートンを率いて11年、限られた資金でクラブを安定した成績に導く“やりくり上手”。以前から「後継者」といわれていた。一方、モウリーニョ監督は欧州主要リーグを渡り歩き、一時はマンU次期監督候補に挙がりながらも、ここにきて来季のチェルシー復帰は決定的とされていた。その渦中での「マンU就任説」だ。実現すれば衝撃的な人事で、マンUが「モウリーニョ色」に染まる。

 モウリーニョ監督がこれまで指揮したポルト、チェルシー、インテルミラノ、Rマドリードでの例をみると、アシスタントコーチなどスタッフ丸抱えで就任する。前所属クラブで忠誠的に働いた選手を連れてくる例も多い。現在のマンUがタレント軍団で、完成度の高いチームであっても、妥協はしないはずだ。ファーガソン監督とは、名将同士お互いに理解し合い、尊敬し合う間柄。取締役としてマンUに残るファーガソン氏からも、全面的な後押しが期待できる。

 香川に大きく影響するのは間違いない。モウリーニョ監督はサッカーのスタイルを「持ち駒」に合わせるのではなく、自らの戦術を落とし込み、それを実践できる選手を重用。個人技より組織力、華麗でスペクタクルなサッカーより、現実的な形を求める。具体的にはフィジカルの強さやカウンター攻撃、堅守が共通する。ファーガソン監督に見いだされ、移籍1年目の今季ある程度の実績を残した香川とはいえ、すぐ認められるかは不透明だ。

 さらに最近はレアルのC・ロナルドのマンU復帰が取りざたされている。同監督とロナルドの代理人が同じことからも、一気に加速する可能性も。そうなれば香川が多く務めた左MFの位置は脅かされる。

 同時に、マンチェスターイブニングでは両監督とともにドルトムントのクロップ監督も候補に。昨季まで師事した同監督就任なら香川には追い風か?

 ドルトムントのエースFWレバンドフスキのマンU入りでホットライン復活か?

 マンUの後任人事は香川の将来や、移籍市場をも引っかき回しそうな雲行きだ。