ボールをキャッチするカボベルデのGKボジニャ(ロイター)
ボールをキャッチするカボベルデのGKボジニャ(ロイター)

カボベルデの40歳GK「ボジニャ」が世界にその名を売った。「ボジニャ」は本名ではない。ポルトガル語で「おばあちゃん」。ニックネームが通名であり、選手の登録名なのだ。

その由来についてボジニャはFIFA公式インタビューに語っている。

本名はジョジマール・ディアス(Josimar Dias)。1886年W杯メキシコ大会でブラジル代表のサイドバックだったジョジマールにちなみ、名付けられた。祖母がファンだったという。だが最初は「バルダーノ」にしたかった。こちらは86年メキシコ大会で優勝したアルゼンチンのストライカー。レアル・マドリードでも活躍した。ただ「バルダーノ」はカボベルデ当局に認められなかった。

ボジャニが言う。

「私が生まれた時、父は軍人でした。母はいつも何かで働かなければならず、私はずっと祖父母と暮らしていた」

周囲からは「ボジャニ」と呼ばれたが嫌だった。プロとなりアンゴラでプレーしていた時、同じチームに「ジョジマール」がいた。そこで母国で浸透している「ボジャニ」が思い浮かんだ。育ててくれた祖父母への感謝の思いもあった。今では「おばあちゃん」という名前が大好きだ。心温まるエピソードである。

ブラジルなどポルトガル語圏ではニックネームが選手名となる。その理由は名前がとにかく長いこと。そして親しみを込めた愛情表現の文化が根付いている。

おばあちゃんと言えば、W杯を58年、62年と連覇したブラジルにはジジとババがいた。ジジは山に芝刈りへ、ババは川に洗濯へ、と日本昔的なファンタジーの世界。ジジの本名は「バルティール・ペレイラ」、ババは「エジバウド・イジディオ・ネト」。どうしてジジとババなのかは不明だ。

試合後喜ぶカボベルデのGKボジニャ(ロイター)
試合後喜ぶカボベルデのGKボジニャ(ロイター)

同じく王様ペレや神様ジーコもそう。ペレは「エドソン・アランテス・ド・ナシメント」が本名で、ジーコは「アルトゥール・アントゥネス・コインブラ」。ジーコは幼少期に「アルトゥールジーニョ」と呼ばれており、それが変形して「アルトゥールジーコ」となり、最後に末尾だけ残った。「~ニョ」には「ちゃん」という意味がある。

さらに言えば90年イタリア大会で活躍し、その後に柏にも所属した「カレッカ」もニックネームだ。その意味は「はげ」。幼少期に好きだった「カレッキーニャ」というピエロを演じる歌手が由来。日本でそんなあだ名を連呼すれば大問題だが、国が変われば愛情表現として受けとめられる。

最後尾で守ってくれる「おばあちゃん」。その存在に安心感を感じずにはいられない。【佐藤隆志】