競泳男子の萩野公介(20=東洋大)が4日、アジア大会の最優秀選手に選ばれた。7種目に出場し、金4銀1銅2の好成績が評価された。

 日本人では98年バンコク大会の伊東浩司(陸上)、02年釜山大会の北島康介(競泳)に続いて3人目の受賞。前夜に朗報を受け、この日朝に仁川入りして会見に出席。「まさかこんな賞がもらえるとは。びっくりした」と喜んだ。賞金5万ドル(約550万円)は「蓄えます」。閉会式ではトロフィーを掲げた。

 「金メダルパターン」だ。平井監督からは「北島は12年前に韓国でMVPを取って、五輪で金を取った。ぜひ萩野もこのMVPを糧として、五輪で金メダルを取ってもらいたい」と言われた。この言葉に、ペコリと頭を下げ「自分も、もちろん金を目標にしています」と話した。

 9月21日の200メートル自由形では韓国の朴泰桓、中国の孫楊と五輪金メダリスト2人を撃破。「素晴らしい選手と泳ぐ機会は年に1度あるかないか。人生で何度もない。緊張で押しつぶされてしまうのはもったいないと思った」。韓国の英雄を倒し、現地での知名度も急上昇。「この素晴らしい経験をつなげたい」。

 平井監督は、萩野の今後について「実力以外の経験値を上げる必要がある。語学とか視野を広げるとかも必要かな」と海外レースへの参戦プランも披露。萩野は2年後について「実力が上がっているのは間違いない。世界記録を目指してやっていく」。【益田一弘】

 ◆アジア大会MVP(サムスンMVP賞)

 韓国のサムスン電子が後援し、98年バンコク大会から創設。候補選手は大会運営委員会が推薦し、国内外の記者の投票で選出。萩野は約1600票の中でトップだった。98年は伊東、02年は北島、06年は競泳の朴泰桓(韓国)、10年はバドミントンの林丹(中国)が受賞。