男子マラソンの川内優輝(32=埼玉県庁)が「ミッドナイトラン」に自信を漂わせた。日本人2位となったびわ湖毎日から一夜明けた11日、滋賀から勤務先の埼玉に向けて移動した。

出場を熱望する今秋の世界選手権ドーハ大会は暑さ対策のために、10月5日午後11時59分号砲という異例のレース。マラソン92度を誇る川内もさすがに真夜中のレースは未経験かと思いきや「学生のころに終電を乗り過ごして、家まで走ったことがある。お金もないので、ビジネスホテルなんて泊まれず、当然、真夜中だから道にも迷って…。3時間ぐらい走って、深夜2時に家についた。そういう意味では経験済みです」と胸を張った。

一方で海外経験が豊富な32歳は「時差調整をしない」という仰天プランも披露した。日本とドーハは時差が6時間。「時差があるからいい。いつもは時差対策で飛行機で寝たりしますが、それをせずに、現地でも昼間にカーテンを閉めて、本来、寝るべき時間を夜みたいに過ごせばいい。時差がないところだと、深夜(のマラソン)に合わせるのが難しいが、時差があるからそんなに問題ないかなと思う」とさらりと言った。

体内時計を現地に合わせず、そのまま本番レースに臨めば、ドーハの午後11時59分は日本の午前5時59分。「ドーハはオイルマネーがあるでしょうから、空調もがんがん効いているでしょう」とニヤリ。調整がうまくいけば、川内の体内時計では、日本の早朝マラソンになるという寸法だ。

世界選手権代表は、6月にも日本陸連が決める。東京五輪代表選考を兼ねた「マラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)」と中20日しかレース間隔がなく、MGCに出場する選手は世界選手権代表に選ばない見通しとなっている。独自路線を歩む川内はMGCよりも世界選手権ドーハ大会優先を表明している。