男子走り幅跳びの橋岡優輝(22=日大)が室内日本記録を22年ぶりに更新した。5回目に8メートル19をマーク。指導を受ける森長正樹コーチが持つ従来の記録を12センチ更新した。記録が表示されると、両手を上げて喜んだ。

「森長先生の日本記録を更新するのが第1目標。そこはなんとかクリアできたので、よかったな」と振り返った。

しかし、「人生初」という最初から3連続も含め、残りの5回のジャンプは全てファウルだった。「やらかした」。苦笑いもこぼれた。

そうなった背景には、屋外とは違う室内独特の事情がある。助走できる距離は短く、少し坂になっている場所からスタートする。また競技場のタータンと違い、床の上に敷かれた少したわみのある板(ボード)の上を走る。

「助走の出だしから感覚が違った。ボードの競技場で初めて自分の助走をした。いつもと違って跳ねる感覚でストライドが伸びていた。自分の中の距離感に少しずれがあった。いくら脚を合わせてもファウルしてしまった」。

ただ、その中で1本だけ、成功したジャンプは日本記録になった。冬季練習では体幹を強くし、空中動作は安定し、助走スピードも速くなった。屋外の自己記録は日本歴代2位の8メートル32。追い風の好条件ならば、さらなる大ジャンプへの期待は膨らむ。4月からは富士通に入社。練習拠点は日大で変わらない。今季については「まずは8メートル40の(屋外)日本記録の更新が目標に、五輪でメダル獲得を目指して頑張りたい」と語った。【上田悠太】