陸上の女子1万メートルで日本歴代3位の30分45秒21のタイムを持つ拓殖大(拓大)の不破聖衣来(せいら、2年)が、30日の全日本大学女子駅伝(弘進ゴムアスリートパーク仙台発~仙台市役所前市民広場着)に意欲を見せた。24日、同大学の東京・八王子国際キャンパスで行われた女子陸上競技部の壮行会で、「自分らしい走りで恩返しできるように頑張りたい」と話した。

不破は9月の日本学生対校選手権の1万メートルで32分55秒31をマークして優勝。復活を印象づけたかと思われたが、145日ぶりの復帰レースの疲労は拭えず、その後の練習では1キロ5分のペースに後れを取るなど、調子を落としていた。

五十嵐利治監督も「先週の時点では、聖衣来抜きで駅伝メンバーを組もうと思っていた」と明かすほどだった。しかし先週、不破から「全体練習に混ざってやってみたい」と直訴を受け、そこから徐々に調子を取り戻しつつあるという。指揮官は「仕上がりからすると去年の2~3割くらい」としながらも、「(悪い時と比較し)別人のような走り」と評する。

不破自身は現在のコンディションを「50~60%くらい」と表したが、出場を強く希望するのは理由がある。「ケガをしてたくさんの人に支えられていると実感できたので、結果で恩返しをしたいです」。

昨年10月の同駅伝5区で、区間記録を1分14秒も更新し、3位入賞に貢献した。しかし今年に入って以降は、右アキレス腱(けん)痛や貧血の影響により、5月の日本選手権を欠場するなど、思うように走ることができない期間が続いた。

その間は貧血対策として、食事のバランスへの意識を高めた。「取り入れたほうが良い食事を自分で調べるようにしています」。寮で食事が提供されない昼食時には、自ら調理し、必要な栄養分の補給に努めてきた。

全日本大学女子駅伝の出走区はまだ決まっておらず、大会前日の29日に各区間のエントリーが正式発表される。杜(もり)の都で快走を見せるべく、今は焦らずに状態を仕上げていく。