全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は来月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。前回優勝のHonda、2年ぶりV奪回を狙う富士通、戦力充実のトヨタ自動車、そして九州大会を初制覇した黒崎播磨。4強の争いが熾烈を極めそうだ。

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Hondaが2連覇に向かって走り始めている。

伊藤達彦(24)と青木涼真(25)は主要区間の3、4、5区に登場するだろう。伊藤は1万メートルで、青木は3000メートル障害で今年7月の世界陸上オレゴンに出場した。2人とも昨年の東京五輪に続く代表入りで、日本のトップ選手のポジションを固め、世界で戦うことに主眼を置いている。

青木はニューイヤー駅伝は2年前、前回と5区で連続区間2位。今年11月の東日本実業団駅伝3区でも区間賞と3秒差の区間2位と、駅伝でもレベルの高い走りができる。

「同じ体でやっていることなので、トラックを意識して駅伝も走っています」

トラックの走力を駅伝でも発揮できる選手で、三度目の正直で、区間賞を取る可能性が大きくなっている。

伊藤は世界陸上から帰国後にフォーム改善に着手した。

「脚に疲労をためないように、エコに走れるように、というのを目標にやっています。“1”(の力)で走るところを僕は“5”で走ってしまう。“1”では走れないかもしれないですけど、せめて“3”くらいで走ろうとしています」。

前回の伊藤は4区区間5位、9人抜きで5位に浮上した。5区の青木が3位に上がり、6区の中山顕(25)でトップに進出した。今回は伊藤か青木が快走し、中盤でトップに浮上する可能性がある。

そのためにはインターナショナル区間の2区で遅れないことが重要だ。前回はジャクソン・カベサ(21)が区間24位で、23位まで順位を落とした。今年の東日本実業団駅伝(11月3日)でもカベサは区間12位でトップから9位に後退し、Hondaは3区以降で追い上げたが富士通に敗れて2位に終わった。小川智監督も「一番の強化区間」だと認めていた。

ペガサはトラックでは国内ケニア選手でもトップクラスの力がありながら、ロードとなるとまったく力を発揮できない。もう1人の外国人選手のジャスティス・ソゲット(23)も同じである。注目したいのは1500メートル前日本記録保持者の荒井七海(28)が、12月10日に5000メートルで13分37秒60と自己記録を大きく更新したこと。荒井の2区起用というサプライズがないとは言い切れない。

プラス材料は小袖英人(24)と川瀬翔矢(24)の2年目コンビの成長だ。前回メンバー入りできなかった小袖は、東日本大会1区区間賞と駅伝でも実績を出し、前回1区区間13位の川瀬は12月に10000mで27分55秒97と、自身初27分台をマークした。

前回3区区間8位だった小山直城(26)は初マラソンを2時間8分台で走り、東日本予選では7区区間賞と安定した強さがある。チームの充実度は前回以上だろう。

小川監督は「ライバルは自分たち」と戦力に自信を持つ。「自滅しないことが一番のポイントです。連覇は意識せず、1つ1つミスせず走り、結果的に優勝できれば」と2連覇へのプロセスをイメージしている。