全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は来月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。前回優勝のHonda、2年ぶりのV奪回を狙う富士通、戦力充実のトヨタ自動車、そして九州大会を初制覇した黒崎播磨。4強の争いが熾烈(しれつ)を極めそうだ。そこに割って入るかもしれないのが、大迫傑(Nike・31)が“参画”するGMOインターネットグループだ。

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大迫にとって8年ぶりのニューイヤー駅伝になる。大卒1年目に日清食品グループの1区で区間賞を取ったが、2年目以降はプロとして活動し、実業団主催の試合には出場していない。

今回は所属はNikeのまま、<1>ニューイヤー駅伝出走契約<2>チームディレクション契約<3>スポンサー契約、をGMOインターネットと結び、「プロとして実業団駅伝を走る」ことになる。

「出場を決めた理由の1つに(長距離界の)活性化があります。僕がニューイヤー駅伝を走ることで、より注目していただける。そこを走る選手はプライドを持って駅伝を走るだけでなく、世界へ飛び立つことの力になる。大卒後の選手はこれまで2つの選択肢があって、1つめは実業団に入ること、2つめはプロとして活動することでした。今回僕が3つめとして、プロとして実業団駅伝を走る選択肢を提示します。3つのオプションがあることで選手の活動の幅が広がり、より世界に飛び立ちやすくなる」

これはGMOインターネットの“陸上界のゲームチェンジャーになる”という考え方とも一致する。

近年は東京五輪で6位になったマラソンランナーとして評価されている大迫だが、駅伝は“得意種目”である。全国高校駅伝、箱根駅伝、そしてニューイヤー駅伝と1区で区間賞を獲得してきた。5000メートルでは今も13分8秒40の日本記録を持つ。

GMOインターネットの亀鷹律良監督は、大迫の出場区間を「3区か4区。大迫君でトップに立ちたい」と明言した。

そのためには前半で出遅れないこと。1区候補は10000メートル前日本記録保持者の村山紘太(29)で、11月の東日本実業団駅伝では1区で区間賞と同タイムの区間2位。大迫と3、4区を分担すると思われる吉田祐也(25)は同駅伝6区区間賞。

さらに今江勇人(24)という新戦力が育ったことが大きい。千葉大大学院修了という異色経歴で、11月末に10000メートルで27分50秒93と日本トップレベルのタイムで走った。大迫でトップに立つお膳立てをする戦力が、しっかりと整った。

「ニューイヤー駅伝でどういうゲームチェンジをしていけるか。皆さんの期待に応えられる走りをしたい」(大迫)

大迫の8年ぶりの上州路の走りが、日本の長距離界に大きな一石を投じる。