全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は来月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。前回優勝のHonda、2年ぶりV奪回を狙う富士通、戦力充実のトヨタ自動車、そして九州大会を初制覇した黒崎播磨。4強の争いが熾烈(しれつ)を極めそうだ。今回は新興勢力として注目を集める黒崎播磨の特徴を紹介する。

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黒崎播磨は前回チーム最高順位タイの6位に入賞。そのとき最長区間の4区で区間賞を獲得した細谷恭平(27)が今季も順調だ。キャプテンでもある細谷は「チームの目標が優勝で、それを達成するためにエースが集まる4区で区間賞を絶対に取ります」と、自覚十分だ。

前回よりレベルアップしている手応えもある。10月のシカゴ・マラソンで6位(2時間8分5秒)と代表レベルの走りをすると、間隔の短さが懸念された11月の九州実業団駅伝5区でも区間賞。11月末には10000メートルで27分54秒83の自己新で走った。

マラソン以外は特筆するほどの戦績ではないが、「積み重ねが毎年、何らかの種目の自己新に現れている」と、10000メートルの走りでも自信を持った。

黒崎播磨は3、4、5区の主要3区間の顔ぶれがほぼ決まっている。過去最高順位の6位に入賞した前回は、3区の田村友佑(24)が区間4位(区間新)で25位から10位に上がると、細谷の区間賞(区間新)の走りで2位に躍進。5区の土井大輔(26)で4位に下がったが、土井自身は区間4位と上位の走りだった。

田村は「自分が区間賞を取って、他の区間でも取れれば優勝もある」と、自身とチームの現状に手応えを持つ。土井は前回区間4位でも消極的な走りだったことを課題としている。「チームの目標達成のためには6、7区を楽に走らせたい」と内容重視で走る。

黒崎播磨が優勝を狙えるのは、主要区間候補の3人以外も充実してきたからだ。九州予選では4区の田村友伸(21)と6区の長倉奨美(23)も区間賞を取り、7区の中村優吾(22)も強豪選手が多い中で区間4位と健闘した。

田村友佑の弟の友伸は1区と6区候補で、今の勢いが続けば1区が有力だ。「チームの優勝にはスタートが大事。1秒でも前で2区に渡したい」と意気込む。

さらに新加入のシトニック・キプロノ(21)は、インターナショナル区間の2区で3年前に区間3位、前回区間2位で走った実力者である。前回の黒崎播磨は2区終了時に25位だったが、今回はヒト桁順位を期待できる。そこから3本柱につなぐ。

澁谷明憲監督(45)は「2区、3区で順位を上げて4区でトップに立つ」と、中盤でトップを走るレース展開を期待する。黒崎播磨がHonda、富士通、トヨタ自動車といった近年の優勝チームを相手に、どんなチャレンジングな走りをするか。ニューイヤー駅伝に新たな風が吹きそうだ。