井上大仁(三菱重工)は2時間7分9秒で日本勢4番手の男子10位でフィニッシュした。

先頭集団を走り続け、ペースメーカーが抜けた30キロ過ぎに見せ場をつくる。「レースを動かさないと」と覚悟を決めて勝負に出た。一気に先頭に立つ。記録も順位も狙ったが、挑戦の代償で徐々にペースが落ち、まずは同僚の山下一貴、さらには其田健也(JR東日本)大迫傑(ナイキ)にかわされた。

レース後は、スッキリした表情で取材エリアにいち早く現れ、淡々と受け答えした。

「チームメートに負けたのって、あ、負けたのは初めてじゃないですけど、記録を超されたのは初めて。正直、複雑なんですけど三菱重工の強さっていうのを出せたのは良かった」

2週間前に体調を崩していたことを「あんま言いたくないんですけど」としつつ、告白。「日本記録も視野に入った通過ではあったので、行けるところまで行こう」と決め「逆に吹っ切れた」。そうして一時はトップを走ったものの、力尽きた。

日本歴代3位の2時間5分51秒で走った山下については「パートナーとして、ずっと試合も練習も一緒だったんですけど、調子が良さそうだった」とし「とっくに超されちゃいました。ライバルですし、負けた悔しさは大きいですけど、チームメートから新しい記録が生まれたことは素直に祝福したい。いい循環の中、年ばっかり食って偉そうにするんじゃなくて、素直に挑戦していきたい」と語った。

既にマラソン・グランド・チャンピオンンシップ(MGC)出場権は獲得している。来夏のパリ五輪を目指し「最近、すごく苦しんだ中で立ち直るきっかけのようなものは見えてきた。MGCへつなげたい」と逆襲へ再び闘志を燃やした。