女子1500の日本人学生記録保持者の立教大・道下美槻(4年)が、同種目決勝に臨み、4分26秒68で3位となった。1着の筑波大・樫原沙紀(4年)に1・88秒差で振り切られた。

レースを終えると、道下はその場で膝から崩れ落ちた。青色のトラックであおむけになり、薄い雲が覆う空を見上げた。涙が止まらなかった。

「優勝を狙っていたので、ほんとに悔しいです…」

うつむきながら、小さな声を振り絞った。

レースでは序盤から上位につけた。残り400メートルでペースアップ。先頭の樫原に食らいつくも、ラストの直線でスピードが上がらなかった。

「残り250メートルでもう一段階、ギアを上げたかったんですけど、それができなかったです」

声を震わせながら、肩を落とした。

同日午前の予選が終わった後。道下は今季にかける思いを、こんな言葉で切り出していた。

「“武者修行”してきました!」

笑いながら明かしたのは、2月から約1カ月ほどオーストラリアでトレーニングや試合に励んできたことだった。1人で航空券や宿泊場所を手配し「経験を積まなきゃ」という思いで海を渡った。

メルボルンの地では、スイスを拠点とするスポーツブランドの陸上トレーニングチーム「The On Atheletics Club(OAC)」の練習に参加。1500メートルを4分1桁台で走るランナーたちに揉まれた。その実力に圧倒される中、新たな思いも抱いた。

「今まで自分にリミッターをかけていたんだな」

強度の高い練習に食らいつくと、全てのメニューを消化している自分がいた。「もっといけるじゃん」。新たな可能性に気付かされた。

そこまでして、必死に目指しているのは「パリ五輪出場」という夢。熱っぽく言葉を続ける。

「目標はパリ五輪に出場することで、今年は少しでも世界陸上の代表争いに絡めたらと思っています」

異国の地で抱いた思いと、平塚の競技場で流した涙と。その1つ1つを力に変え、リミッターを取っ払っていく。【藤塚大輔】