21年東京オリンピック(五輪)代表の寺田明日香(33=ジャパンクリエイト)が、自己ベストタイの12秒86(追い風0・4メートル)で優勝を飾った。

日本人選手5人が12秒台を記録する中、確実に勝ち切った。「追うのも追われるのも楽しいので、そこは自分もすごく楽しんでやっています」と快活な声を響かせた。

前半は「あまり良くなかった」としながら、中盤以降でスピードに乗った。「焦らずにいけば大丈夫」。冷静に追い上げ、2位の田中佑美(富士通)に0・03秒差をつけた。「スプリントで負けることはない」と自信があった。

今季は「耐乳酸」をテーマに据え、シーズンオフには「苦手」な走り込みを重ねてきた。3月中旬には、シーズン初戦として200メートルのレースにも出場。「苦手な部分を埋めたほうが、トータル的には上がっていく」とスプリント強化に励んだことが、好走にもつながっている。

女子100メートル障害は、争いが熾烈(しれつ)となっている。今大会も2位の田中に加え、日本記録保持者の福部真子(日本建設工業)が12秒91で3位、青木益未(七十七銀行)が12秒94で5位。まさに“戦国時代”の様相となっている。

今年1月に33歳となった寺田は「走る前はちょっとヒリヒリして『あ、4人そろってる』って感じなんですけど、スタートラインに立つと楽しくなってきちゃって、ニヤニヤしています」と争いを楽しんでいる。

さらなる激化が予想される戦いへも「プレッシャーをかけずに、私も1人の陸上ファンとして楽しみながらやりたいです」と笑顔を見せる。

目の前のレースに胸を高ぶらせ、大目標の24年パリ五輪へとまい進する。【藤塚大輔】