新潟経営大に陸上男子中・長距離部が発足し、6月から活動を始めている。ただ1人の部員は800メートル、1500メートルが専門の井上卓哉(1年、三条商)。同大で24年から女子駅伝部が始動することを知り、同部の山本仁士監督(49)に直訴して部発足にこぎ着けた。部としてのデビューを北信越学生陸上選手権(10月21、22日、長野)に定めた。

 

目標が次々と浮かぶ。「800メートルで1分55秒台を出す。将来は長距離にも挑戦したい。そして部員を増やしたい」。中・長距離部の第1号メンバーの井上は大学を背負って走ることを楽しみにしている。最初の公式戦は10月の北信越学生選手権。800メートルと1500メートルにエントリーする予定だ。

山本監督は「フォームはいい。長い距離もいけそう」と伸びしろを感じ取った。井上はこれまで、部活動はなくても水、土、日曜の週3回は追い込み、ほかの日は加茂市の自宅周辺を走る独自メニューで練習していた。今後は山本監督が作成した内容でマンツーマンの本格的なトレーニングを行う。山本監督のつながりで実業団などの練習に参加するプランもある。

14年の全国中学駅伝で新潟・小千谷中を2位に導いた山本監督の下、同大に女子駅伝部が創設され、24年4月から活動することを知った。「やる場があるなら本格的に続けて大学の名前を広めたいと思った」と、それまで面識がなかった山本監督に掛け合った。葵中、三条商と陸上部に所属も全国大会出場経験はない。悔しさを晴らす場を求めていた。

山本監督も「中、長距離を走りたがっている学生がいることは聞いていた」と言う。女子駅伝部をスタートさせる準備中だが、井上のやる気が響いた。女子駅伝部とは別に、中・長距離に絞って男子が活動をすることを確認し、大学側から許可をもらった。

新潟経営大のユニホームを着る姿を想像すると「気持ちが高ぶってくる」と井上。来年はインカレ出場など具体的なターゲットが見えてくる。「やるからには学内で“陸上部は強い”と言われるようになりたい」と決意した。【斎藤慎一郎】

 

◆井上卓哉(いのうえ・たくや)2005年(平17)1月19日生まれ、新潟・加茂市出身。葵中では県中学通信陸上の男子3000メートルで9分42秒03で5位。三条商では3年連続で県高校総体に出場。800メートルの自己ベストは1分59秒29。新潟県駅伝には加茂・田上に所属し、中3から高2まで出場。174センチ、60キロ。