女子中距離の田中希実(23=ニューバランス)が準決勝敗退となった。4分6秒71で1組最下位となる12着でフィニッシュした。

「いろいろなレース展開を試してきたんですけど、それは自分のためのレースであったり、自分が支配している中でやっているもので、井の中の蛙(かわず)のレースだったなと思う。いざ世界でやろうとした時に、いろいろな引き出しを持っていて実力があっても、それを出せない部分をあらためて体感できた」

スローペースで進んだ準決勝。集団は1周目(400メートル)を1分6秒で通過すると、2周目を1分9秒ペース、3周目を1分2秒ペースで刻んでいった。中盤につけていた田中は突破口を見いだせないまま、スパート勝負へと持ち込まれた。

「ラスト1周というよりラスト700メートルだったり。世界に合わせたレースを想定していたんですけど…」

駆け引きのない展開に苦しみ、終盤は上位勢に振り切られた。「自分の実力を信じながらも自信がなくて、迷いもあった」。懸命に腕を振ったが、前方との差はじりじりと離れていく。最下位でゴールエリアへ駆け込むと、差し込む西日を浴びながら、険しい表情を浮かべた。

鋭い目つきで4分6秒のレースを振り返る。「最初からハイペースでいくという、肝の据わったレースというか、絶対的な自信をつけていれば良かった」。淡々とした口ぶりで現状を受け止めた。

日本時間23日午後6時10分からは5000メートル予選に臨む。

「応援してくださっているのはすごく感じたレースにはなって。それを結果で応えられなかったのはすごく悔しいので。5000が残っているだけ救いと思って、頑張りたいと思います」

かすかに鼻を赤くしながら、真っすぐな瞳に決意を込めていた。【藤塚大輔】