女子中距離の田中希実(23=ニューバランス)が3大会連続となる5000メートル決勝に臨み、8位入賞を果たした。14分58秒99をマークし、97年アテネ大会8位の弘山晴美以来、同種目では史上2人目、26年ぶりの入賞となった。

ペース変動が激しい展開にも、幾度も対応した。序盤は後方に位置しながら、中団から先頭をうかがう仕掛けもみせた。残り2周では強気に3位まで浮上し、世界の強豪と渡り合った。

「けん制が入ったりとか、ペース変動が激しいレースだったんですけど、その中で足を削り取られることなく、本当にラスト1周まで食らいつくことができたので、そこはすごく自分自身にワクワクしながら最後まで走り抜けられたなと思います」。レース後には充実した表情で振り返った。

今大会は1500メートルと5000メートルの2種目に絞った。1500メートルでの準決勝敗退に「井の中のかわず」と失望感をにじませたこともあった。5000メートルの予選では14分37秒98と大幅に日本記録を更新した。そしてこの日の決勝。

アジア勢唯一の出走となる中、強豪アフリカ勢に食らいついた。「去年のオレゴンはすごくむなしくて悲しくて、何の悲しみかわからなかったんですけど、ずっと逆にその悲しみが怒りに変わって、この1年間ずっと努力してきて」。昨年大会からの1年間の歩みを思い返した。「でも、やっぱり怒りだけじゃなくて、自分自身への許しが必要なんだなって、この大会で初めて気づくことができて。それは、気づかせてくれたのは、いろんな支えがあったからで、本当に私1人じゃここまで来られなかったので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」。瞳をうるませながら、今大会ラストレースを終えた。