男子走り幅跳びの橋岡優輝(24=富士通)が日本男子初の表彰台入りを飾った。

今季自己最高の8メートル15(追い風1・2メートル)をマーク。世界最高峰シリーズ・ダイヤモンドリーグ(DL)の年間上位者で争うファイナルで、初出場ながら3位に入った。21年東京オリンピック(五輪)6位入賞のジャンパーは今季から助走速度をアップ。結果が出ない時期を乗り越え、来年のパリ五輪へ弾みをつけた。

   ◇   ◇   ◇

4位で迎えた最終6回目。橋岡はスピードに乗って踏み切った。順位を1つ上げると、うなずきながら手をたたいた。「(今季)後半になるにつれて調子は上がっていた」。苦しい時期を乗り越え、今季自己最高の跳躍だった。

新たな助走に取り組んできた。昨夏の世界選手権で10位になると、11月から渡米。サニブラウンら短距離界のトップ選手が集うタンブルウィードTCでスプリント強化に励んだ。助走速度を高め、全力疾走へと近づけた。歩数はこれまでと同じ「20歩」も距離は6メートルほど短くなった。森長正樹コーチから「8メートルを跳べなくなる可能性もある」と言われた上で変更を決めた。

スピードと踏み切りがかみ合わず、米国のコーチから「お前の助走はジョギング」と厳しく指摘されたこともあったが、素直に受け入れた。2位で3連覇を逃した6月の日本選手権後には「絶賛、迷子中」と話しながらもスピードを生かした助走を追求。8月の世界選手権では7メートル94で予選敗退も「迷子ではなくなった。感覚が分かり始めた」。

夏が過ぎチャンスは巡ってきた。辞退者が出たため、大会直前に出場が決まったファイナルの舞台で8メートル超えを2本マーク。試行錯誤がようやく実を結んだ。「もう少しまとまれば優勝も狙えた。やり切れない思いが強い」。ブレずに目標を追い続ける。【藤塚大輔】

◆橋岡優輝(はしおか・ゆうき)1999年(平11)1月23日、埼玉県さいたま市生まれ。同市・岸中から陸上を始め、東京・八王子学園八王子高から走り幅跳びに専念。高3時に高校総体、国体、日本ジュニア選手権で3冠。21年東京五輪で日本勢37年ぶりに決勝に進出し6位入賞。サッカー日本代表DF橋岡大樹はいとこ。身長183センチ。