流ちょうに異国の言語を話すまでには、不断の努力があった。

陸上の世界最高峰シリーズ・ダイヤモンドリーグ(DL)ファイナル(米オレゴン州)で日本勢初優勝を収めた女子やり投げの北口榛花(25=JAL)が19日、米国から羽田空港へ凱旋(がいせん)帰国。話題となったチェコ語でのインタビューに関し、その習得法を打ち明けた。

8月の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)で金メダルを獲得した北口は、19年からチェコを拠点としており、同国のメディアからの質問にチェコ語で応じていた。実はブダペスト大会が初めてチェコ語で対応した試合。「反響がすごく大きくてビックリしています。それによってチェコの皆さんとの距離が近くなれば」と振り返る。

習得のために地道な努力を重ねてきた。

コロナ禍には日本のチェコ大使館のレッスンへ。今もオンラインで受講を続ける。普段の練習も言語習得のチャンスと捉え、チームメートとコーチの会話を「盗み聞き」。レストランでは、他の人の注文方法に耳をそばだてた。指導を仰ぐデービット・セケラックコーチも、文章の読み書きができているかをチェックしてくれるという。

北口が日本語で話す際、言葉の合間で口にする「おー」「うー」はチェコ語の感嘆詞。日ごろから異国の言語でコミュニケーションをとろうとしていることの表れでもある。

今は「少しずつ会話ができるようになってきた」と実感する。心がけているのは喜怒哀楽を込めること。まだ完全な習得には至っていない分、「感情をしっかりのせてしゃべる」ようにしている。

その積み重ねゆえに、チェコ語でのインタビューは実現したのだった。