学生3大駅伝の初戦となる出雲駅伝(出雲大社正面鳥居前~出雲ドーム前)が今日9日、午後1時5分にスタートする。全6区間(45・1キロ)で争われる今大会は、11月5日の全日本大学駅伝、来年1月の箱根駅伝への初陣。昨季3冠の駒澤大(駒大)、1月の箱根駅伝2位の中央大は強力なランナーがそろっており、青山学院大、国学院大、早稲田大なども頂点をうかがう戦力がある。

駒大は3大駅伝通算27勝の大八木弘明監督が昨季限りで勇退し、同校のコーチを務めていた藤田敦史氏が4月から新監督に就任。新体制では初の3大駅伝を迎え、史上初の2年連続「3冠」を目指す。

昨年までチームを引っ張った田澤廉(現トヨタ自動車)が卒業したが、現チームも選手層は随一。1区にはハーフマラソンの日本人学生記録保持者の篠原倖太朗(3年)、2区には今秋の杭州アジア大会6位入賞の佐藤圭汰(2年)、アンカーには1万メートルの自己記録(27分41秒68)の鈴木芽吹主将(4年)を登録した。8日の監督会見に出席した藤田監督は「キーマンは昨年もゴールテープを切った鈴木芽吹。昨年は田澤(廉)という絶対的エースがいたが、本年度は鈴木がどこまで近づき、精神的支柱になれるか」と主将に期待を寄せる。

その駒大を追う中央大は昨季の主力がそろう。2区に5000メートルの自己記録が出場選手中3位(13分24秒11)の中野翔太(4年)を抜てき。3区以降は吉居駿恭(2年)、阿部陽樹(3年)、溜池一太(2年)とつなぎ、アンカーには5月の関東インカレ男子1部ハーフマラソン日本人トップの湯浅仁主将(4年)を登録した。注目は補員に回ったエースの吉居大和(4年)が当日変更でエントリーされるのか。吉居大は今月1日に世界ロードランニング選手権(ラトビア)で5000メートルに出場したばかりで、そのコンディションがチームの行方を左右する可能性がある。

5年ぶりの出雲路制覇を狙う青山学院大は、3大駅伝未出走の鶴川正也(3年)をアンカーに登録。終盤まで上位でつなげるかが鍵を握る。前回2位の国学院大は9月の日本インカレ1万メートルで日本人トップとなった伊地知賢造主将(4年)が3区、山本歩夢(3年)が4区、1万メートル27分台の平林清澄(3年)を6区に配置。3区以降に経験豊富なランナーがそろう。

2年ぶりの出場となる早稲田大は1区から順に伊藤大志(3年)、山口智規(2年)、石塚陽士(3年)を抜てき。4区登録の工藤慎作、同6区の長屋匡起はともに1年生で、初の3大駅伝での走りに注目が集まる。

前回5位の順天堂大は男子5000メートルの日本人高校記録保持者の吉岡大翔(1年)を1区に起用。今夏の世界選手権(ブダペスト)3000メートル障害6位入賞の三浦龍司(4年)は補員に入っており、当日変更でエントリー入りする可能性がある。

その他にも、5年ぶりの出場の城西大は1月の箱根駅伝5区で区間新を樹立した山本唯翔(4年)らを筆頭に地力がある。法政大1区登録の松永伶(4年)も3月の日本学生ハーフマラソン3位の実力者。東洋大4区登録の松山和希(4年)が出走となれば、22年箱根駅伝以来の3大駅伝出場となる。

出雲駅伝は最短区間が2区の5・8キロ、最長区間が最終6区の10・2キロと、1区間あたりの距離が短いのが特徴。スピードランナーの起用も見どころの1つとなっている。区間エントリー6人と補員2人は公開されており、今日9日午前9時から同20分までに出走者2人を変更可能。入れ替えは区間登録選手と補欠選手の交代のみで、区間登録選手間の交代はできない。