第43回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)は、前々回女王の積水化学が2時間13分33秒で2年ぶり2度目の優勝。宮城の地で駅伝女王に返り咲いた。中でも県内出身のクイーンたちが躍動。エース区間の3区(10・6キロ)を任された佐藤早也伽(29)は常盤木学園出身。各チームのエースが集う中、2位で渡されたタスキを1位に押し上げると、仙台育英出身の4区(3・6キロ)の佐々木梨七(21)が日本人トップのタイムで首位を守り、後続につなげ、優勝に貢献した。

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並んでからが強かった。第3中継所では1位資生堂と26秒差の2位でタスキを受け取ったが、4キロを過ぎてパリ五輪代表内定の一山麻緒(26)を射程に捉えると、4・4キロ地点ですぐさま抜き去り、首位に立った。

7・6キロ地点では8月の世界選手権(ブダペスト)1万メートルで7位に入った広中璃梨佳(23=日本郵政グループ)に追いつかれたが、「行けるところまで必死についていこうと」と佐藤。離されまいと粘り続けた。5区の女子マラソン日本歴代2位の記録を持つ新谷仁美(35)も「早也伽ちゃんはそこからが強み。広中さんと並んだ瞬間から彼女の勝ちだと思いました」と、思わず前のめりで熱弁するほど、その粘り強さは一級品。デッドヒートを繰り広げ、1キロを切ってからのラストスパートでトップに。2位と3秒差をつけてタスキをつないだ。区間賞こそ広中に譲ったが、それでも33分27秒で区間2位。チームに流れを呼び込むには十分だった。以降、4区佐々木、5区新谷、6区森智香子(31)と、一度も首位を渡さず。力走で勝利への道筋を立てた。

表彰式では、最優秀選手賞に選ばれ壇上へ。「今年は『絶対に優勝する』という目標があった。絶対に負けないという気持ちで走っていました」とデッドヒートを振り返り、最優秀賞には「すごく光栄に思います」と照れくさそうに笑った。今後に向けては「まずは来年、また優勝して連覇できるように頑張りたい」。積水化学は歩みを止めない。女王奪還の次は、史上9チーム目となる“連覇”に向け、スタートを切る。【濱本神威】

○…4区は、区間7位の佐々木以外、区間上位11位まで全員が外国人選手という激戦区だったが、首位を守り抜いた。佐々木は「最初からどんどん突っ込んで走ることを意識して走りました」。積極的な走りで、3キロ地点で独走態勢。日本人トップの11分11秒をマークし、中継時点で3秒だった2位との差を16秒にまで広げた。

昨年はアンカーを担い、20分54秒で区間賞をマークするも、優勝した資生堂との差は大きく、2位に終わった。佐々木は「(昨年は)悔しい思いがあった。リベンジすることができてうれしいです」と笑顔で振り返った。

【クイーンズ駅伝】積水化学が2年ぶり2度目のV 資生堂は連覇ならず4位/詳細>>