第100回箱根駅伝(来年1月2、3日)に向け、2年連続29回目の出場となる立教大(立大)が17日、埼玉・新座キャンパスで取材会を行った。創立150周年を迎える今大会、目標とするシード権(10位以内)獲得を狙う。前監督の上野裕一郎氏が不適切な行動により10月に解任。実質的な監督不在となる中、選手が練習メニューからエントリーメンバーまですべてを決めている。中でも強化クラブ1期生のエース関口絢太(4年)は、走れない同期の思いも背負って走る。

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ピンチをチャンスに変える。関口がその思いを口にした。「チームがバラバラになることが駄目。走る10人が去年(18位)以上の結果を出すことが必要」。チームは10位以内を掲げるが、そこには順位以上に強い気持ちで走り切ることの意味も込めた。

「日本一速い監督」上野氏に率いられ、前回は55年ぶりの出場を果たした。そして今回、創立150周年事業「立教箱根駅伝2024」を迎えるはずだった。だが、その「監督」はいない。

OBで陸上部総監督の原田昭夫氏を代理監督に立てた。しかし専門は棒高跳びで長距離経験はない。解任から2カ月。選手たち自ら練習メニューを考え、登録メンバー16人も決めた。

これまで上野前監督が状態をくまなくチェックし、選考した。「信用していた人がいなくなり、1本チームの柱を失った」(関口)のは率直な心情だ。やむにやまれぬ「選手主体」の活動が始まった。

12月上旬の沖縄合宿。軸となる主力選手ら約10人が話し合い、登録16選手を決めた。前回6区を走った内田賢利や宮沢徹主将ら4年生は選考から漏れた。宮沢は悔しさを胸の奥底にしまいこみ、「チームが下した決断、これがベストな16人。僕は異議はない」と気丈に話した。

現4年生は強化事業の第1期生として入学した。関口は「自分以上に同期のことが一番かなと思います。弱かった立教に箱根を目指して入ってきた。4年後に(箱根に)行けるかどうかも分からないまま…」と格別な思いを持つ。

とりわけ宮沢主将は東京・国学院久我山高時代から約7年、同じ釜の飯を食った仲だ。「いろいろあった4年間、(宮沢とは)一緒に走りたかった。同期たちの思いも背負って走りたい」。学生たちは自らの力で「天下の険」に挑む。【佐藤隆志】

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