<陸上:静岡国際陸上>◇3日◇静岡・エコパ

 男子400メートル障害で注目の為末大(34=CHASKI)が欠場する中、岸本鷹幸(21=法大4年)が48秒88の日本歴代10位の記録で優勝した。昨年の世界ランク10位ジョニー・ダッチ(米国)に競り勝ち、五輪参加A標準記録(49秒50)を突破。目標とするロンドン五輪の決勝進出へ、幸先のいいスタートを切った。女子やり投げの海老原有希(26=スズキ浜松AC)も61メートル14の記録で優勝し、五輪参加A標準記録(61メートル00)を破った。

 同じ法大の後輩・岸本が、「ポスト為末」へ名乗りを上げた。10台目のハードルを跳び越え、ラスト勝負。昨年世界ランク10位(48秒47)のダッチを逆転し、ゴールに飛び込んだ。掲示された「48秒88」の記録を確認すると、右手を突き出し、ガッツポーズ。「記録を出そうと思ったけど、こんなに出るとは思わなかった」。自身初の48秒台突入に、喜びを爆発させた。

 為末と同じ身長170センチ。動画サイトで全盛時の「侍ハードラー」の映像を見つけ、参考にした。為末は世界で戦うため、世界のトップ選手と同じく5台目までを13歩、6~7台目までは14歩、8~10台までは15歩でかけ抜ける。岸本もまた「世界」を意識し、今年から先輩と同じ歩数にまねた。「今日は5台目で失敗した。それでもまだ余裕がある。記録はもっと伸びる」と手応え十分だ。

 もともとハードリング技術は高い。そこへ冬場は400メートルの第一人者・金丸と一緒に走り込み、走力に磨きをかけた。苅部監督は「早く私の記録(48秒34)を破ってほしいし、その次は為末先輩(47秒89)だね。もう五輪は出るだけじゃ許されない」。昨年の世界選手権は準決勝(24人)へ進出。今季の目標を問われると、岸本はすぐさま「昨年の雪辱です」。ロンドンでの決勝進出を誓った。【佐藤隆志】

 ◆岸本鷹幸(きしもと・たかゆき)1990年(平2)5月6日、青森県むつ市出身。大湊高-法大。昨年の日本選手権400メートル障害に49秒28で優勝。世界選手権は予選49秒51、準決勝50秒05で敗退。家族は両親、祖母、弟。170センチ、60キロ。