新星出現が期待される日本の男子短距離界にとって、今週末の布勢スプリント(25~26日、鳥取)は重要な位置づけとなる。

昨年は山縣亮太(セイコー)が9秒95の日本記録をたたき出した。高反発のタータン(走路)や追い風が吹きやすい天候条件などもあり、好記録が期待される大会。7月15日から開幕する世界選手権(米オレゴン州ユージーン)は、現時点で男子短距離の内定者は100メートルのサニブラウン・ハキーム(タンブルウィードTC)のみ。10日の日本選手権でサニブラウンに次いで2位、3位となった坂井隆一郎(大阪ガス)と柳田大輝(東洋大)は、参加標準記録(10秒05)を突破すれば、世界選手権の代表に内定する。

長らく短距離界を引っ張ったトップ選手の不在が、若手の台頭への期待に拍車を掛けている。昨年10月に右膝を手術した山縣は、来季(23年シーズン)の復帰に照準を合わせていることを明言しており、桐生祥秀(日本生命)も今季の休養をSNSで表明。ケンブリッジ飛鳥(ナイキ)は、4月に追突事故に巻き込まれた影響で調整が遅れ、日本選手権の出場がかなわなかった。布勢スプリントにはエントリー。出場すれば今季の復帰戦となる。

「ハキーム(サニブラウン)の他にも坂井君や柳田のような、(24年)パリ五輪に向けて新しい人材の発掘も大事になる。1人でも多く世界の舞台を経験できれば」と展望を語るのは日本陸連で短距離担当の土江寛裕ディレクター。注目の男子100メートルは、26日に行われる。【佐藤礼征】