<フィギュアスケート:全日本選手権>◇第1日◇21日◇さいたまスーパーアリーナ

 五輪ほぼ当確の羽生結弦(19=ANA)が、驚異的な103・10点で首位発進した。

 昨年覇者の羽生が圧倒の演技をみせ、優勝争いでも代表レースでも、ひとり旅に入った。GPファイナル優勝などで優位に立つ状況から、日本人初の100点超えを果たした。

 12年カナダ選手権のチャン、09年ロシア選手権のプルシェンコに並ぶ偉業。「ほっとしてます。国内戦なので、ありがたいとは思いますけど」と、得点が出やすい国内大会での結果を冷静に受け止めるさまも、堂に入った。

 トラウマに勝った。滑走順は6人の組で2番目。思い出したのは3月の世界選手権のSP。「何をすればいいのかわからなくて」と準備に戸惑って9位と出遅れた。苦手な順番にどう気持ちをコントロールするかが課題だった。考えたのは「自分が演技を楽しんでいるのはどういうときか」。トレーナーとも会話しながら、集中力を高めた。

 そして冒頭の4回転。まったく危なげなく着氷すると「いつも通りの感覚だな」と楽しむ自分を確認できた。そこからは独壇場。切れ味鋭いステップで会場を興奮に包み、フィニッシュでは人さし指を天にかざすガッツポーズをみせた。

 代表切符を確実にし、フリーは「五輪うんぬんではなく、今日同様に楽しみたい」。ここは通過点。後続を大きく引き離し、視界に捉えるのは全日本2連覇のその先しかない。【阿部健吾】