<全国高校ラグビー:東福岡102-0遠軽>◇30日◇2回戦◇花園

 大会4連覇を狙う王者の壁は厚かった。北北海道代表の遠軽は、道勢最多失点でシード校の東福岡(福岡)に屈し、2回戦で姿を消した。開始1分にノーホイッスルトライを決められるなど圧倒され、07年度の2回戦で北見北斗が桐蔭学園(神奈川)を相手に記録した90失点(無得点)を上回った。

 ノーサイドの瞬間、降りしきる雨の中、選手全員が抱き合いながら号泣した。大差は、ついた。悔しかった。しかし、こみ上げる涙の裏には、チームスローガン「オールアウト」の通り、花園ですべてを出し切った達成感があった。FW佐竹優哉主将(3年)は「最後まで気持ちを入れて、タックルができました。3年間の努力を出し切りました」と胸を張った。

 東福岡とは3月の高校選抜で対戦。0-120で大敗後、守備練習に多く時間を費やした。授業前の朝練では学校の格技場を使用し、タックルやブレイクダウンなど時間の許す限り打ち込んだ。山内宣明監督(44)は「春から18点、差を縮めたことが成長の証し。よくやり切ったと思う」と、最後まで一心不乱にボールを追った選手をたたえた。佐竹は「春の試合が今でも脳裏に浮かびます。この18点は、僕らがやってきたことが無駄じゃなかったということ」と力を込めた。

 1回戦の坂出工(香川)戦では、開始1分のノーホイッスルトライで勢いに乗り、道勢最多70得点で41大会ぶりの勝利を挙げた。2年生FWの山下宝は「先輩たちの姿を見て、後悔だけはしない試合をしたいと思った。来年も花園で力を出し切りたい」。1、2年生23人が「オールアウト」の精神を受け継ぎ、さらに新しい歴史を築いていく。【黒川智章】