<高校ラグビー:御所実17-12秋田工>◇3日◇準々決勝◇花園

 Bシードの御所実(奈良)はAシード秋田工(秋田)に逆転勝ちを収め、2大会連続のベスト4進出。

 まるで重戦車のような突進だった。5点リードで迎えた後半28分、御所実はゴール前10メートルの地点からモールで無心に押し進んだ。秋田工が後ずさりし、プロップ藤田がダメ押しのトライを決めた。2大会連続ベスト4入りを確実にした瞬間だった。

 「スクラムで負けてもモールでは負けない。僕らは日本一のモールを目指してきた。1年間通してやってきたこと、そのプライドを示せた」と藤田。08年度大会は常翔啓光学園に敗れたが準優勝、09年度大会はベスト8。当時の先輩が武器にしたモールを見て、藤田は「黒いユニホームが重戦車のように見えた。先輩にも伝統にしろと言われた」という。どんな位置でも相手より多く立ってプレーし、数的優位から得点を狙うのが御所実の真骨頂だ。

 前半29分の同点トライもモールから。後半12分のフッカー竹井主将の勝ち越しトライはラックからだが、ゴールライン上の猛烈な押し合いを制した。竹田寛行監督(52)は「重い、強い、速い相手に勝てた。あいつら一生懸命にやったから」と絶賛した。

 東京との初戦2回戦は反則が多く、仲間内で厳しい指摘を繰り返した。「けんかもするけど、オフはバカ騒ぎする仲間。ここまでくれば日本一しかない」と藤田は言う。準決勝は今季対戦のない茗渓学園で「自分たちの強みを出すだけ」(竹井主将)。竹田監督からこの日から出された司令は「笑顔」。平常心でモールを組めば、その先には悲願の日本一がある。【横田和幸】