<全国高校総体:ホッケー>◇女子決勝◇6日◇山梨・白根高第2運動場

 沼宮内(岩手)が岐阜各務野を2-1で下し、35年ぶり3度目の優勝を飾った。

 歓喜の涙が止まらなかった。試合終了の笛が鳴ると、沼宮内の選手たちは抱き合ってよろこんだ。佐々木正人監督(47)は「最高です。この暑さの中、本当によくやった」。1-1の前半35分、ペナルティーコーナーから決勝点を決めた中花愛莉主将(3年)も「ここまで頑張ってきてよかった」と頬をぬらした。

 11人でプレーするホッケーだが、1人少ない10人で戦い抜き、頂点に立った。部員不足に悩んできた。登録選手は13人だが、うち3人はバスケット部と茶道部から借りた選手で、実質プレーできるのは中学時にホッケー経験があるバスケット部の柴田凪沙(3年)を含めた10人のみ。大会出発3日前に合流し、この日先発フル出場した柴田は「力になりたかった。やってよかった」と笑顔だった。

 人数は少なくても、チームワークには自信がある。週6日、学校から自転車で15分離れた人工芝グラウンドでの練習では「選手が少ない分、細かいところまでみんなで話し合って共通理解を深める」と中花。春の全国選抜も10人で準V。その後、部員1人が体調不良でプレーできなくなったが、その穴は柴田が埋めてくれた。GK十和田咲(2年)は「今大会で3年生が抜けたら残るのは4人。今日が最後だと思って戦いました」。後半は好セーブを連発しリードを守り抜いた。

 学校がある岩手町は、もともとホッケーが盛ん。選手たちは「小さい頃から親しんでいる競技」と口をそろえるが、高校まで続ける選手は多くないという。今大会で引退する中花は「後輩たちには、沼宮内の伝統を受け継いでいってほしい」。苦難の末につかんだ優勝が、部員増にもつながることを願っていた。【成田光季】

 ◆岩手県立沼宮内高校

 盛岡市の北、岩手町に1948年(昭23)創立された共学校。ホッケー部は68年創部。女子は高校総体優勝3回、準V5回。男子は優勝6回、準V3回の名門。岩手町は70年岩手国体のホッケー会場となって以来、町ぐるみで同競技に力を入れている。OGに08年北京五輪ホッケー代表の小沢みさきら。岩手県岩手郡岩手町大字五日市10地割4。藤沢義昭校長。