全日本バレーボール高校選手権(春高バレー)は今日4日から東京体育館で開幕する。男子は全国大会初出場の静清(静岡)が、22年連続出場の開智(和歌山)と対戦。廃部危機からチームを支えてきた裏方の3年生のため、ゲーム主将の高橋邑弥(ゆうや=2年)を中心とした強い連係で躍進を狙う。

 静清の主力たちは上級生の好サポートを受ける。全体練習後、ストレッチする間を回る3人の3年から「足が曲がっているぞ」と声をかけられる。練習試合は審判役、スパイクの練習ではボール拾いが役割。出場機会なく、裏方に徹する先輩の姿がパワーの源だ。

 中学でパソコン部だった森下享悟(3年)は精神面と体力強化を目的に入部した。「まさか春高バレーに出られるとは思ってなかった。裏方として、しっかりサポートしたい」。先輩たちの“黒子”ぶりに、高橋邑は「3年と一緒に全国に行けることは本当によかった。結果を出して、笑顔で終わりたい」と、先輩への感謝の気持ちを全国1勝で示す意気込みを示した。

 15年4月。部員数は現3年の3人のみと廃部寸前だった時、山内健至監督(44)が就任した。週6日、1日4時間以上の少人数の猛練習を敢行。中学生への地道な勧誘の効果もあり、現在はマネジャーを含め部員15人。オフ時も学年の垣根を越えて集結する結束力がある。誰でもレシーブができるという堅守、選手の好連係がチームの武器だ。

 山内監督は「初戦に勝ったら、勢いに乗って上にいける可能性は高い」と分析する。1年前、チームでマイクロバスに乗り込み、東京の観客席から見た春高バレー。高橋邑は「まず初戦に勝ちたい」と照準を合わせた。【保坂恭子】