日本ハンドボール協会は22日、東京都内で評議員会を開催して新理事を選定、28日予定の新理事会で会長以下役員を決め、新体制をスタートさせる。

 6月に当時の渡辺佳英会長が不適切な会計処理を理由に蒲生晴明副会長兼専務理事の解任を提議して以来、迷走を続けた同協会がようやく東京五輪に向けて動きだす。

 もっとも、新体制移行はすんなりとはいきそうもない。新理事選考委員会は蒲生氏ら協会改革を進める新理事候補27人を選んでいたが、直前になって前会長の渡辺氏と常務理事の大橋則一氏を候補に追加。定員28人に対して候補が29人になったことで、評議員会で絞り込む必要がある。誰を落とすかで、日本ハンドボール界の未来が決まる。

 蒲生氏は昨年6月の副会長、専務理事就任以来、これまでの執行部にないほど積極的に動いてきた。東京五輪に向けた代表強化はもちろん、大型スポンサー契約にも成功した。協会内外に「蒲生体制」継続に期待する声は大きい。日本トップリーグ連携機構の川淵三郎会長も「蒲生は改革を進めてきた。さらに進めることが組織のガバナンスだ」と声を荒らげていた。

 しかし、蒲生氏追放を目指す動きがあるのも事実。不適切な会計処理は解任提議を出す以前から分かっていた。ミスを指摘して修正することもできた。事実を精査して理事会に報告した第三者委員会にも問題がある。メンバーは蒲生氏の解任提議を出した渡辺氏に一任という一方的なもの。中立な調査ができたのかという疑問の声もある。

 仮に蒲生氏が理事から外れれば、6月からの「空白の4カ月」はもちろん、昨年6月からの改革はストップし、スポンサー撤退の可能性もある。川淵氏が指摘した「何もしてこなかった」日本協会に逆戻りするかもしれない。選手ら現場を置き去りにして、迷走を続ける日本ハンドボール協会。その未来は、評議員たちに託される。