【レジャイナ(カナダ)30日=松本航】フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズデビュー戦となったスケートカナダで5位に入った本田真凜(16=大阪・関大高)に、持ち前のポジティブさが戻った。フリー翌日の29日(日本時間30日早朝)はエキシビションに出演。練習不足が指摘される中で自信を胸に、連戦のGP中国杯(11月3日開幕、北京)に向け現地を出発した。

 試合とイメージを変えた黒の衣装でエキシビションに臨んだ本田は、10位に沈んだ2日前のショートプログラム(SP)を「悔しいっていうより、悲しい演技をしてしまった」と振り返った。翌日のフリーは3位で5人抜き。必死の巻き返しを経て、中国への出発前にいつもの笑顔が戻った。

 「次の試合は自信がある。今のところ(GPで)いい演技と悪い演技が1対1なので。もう悪い演技を使っちゃって、いい演技が残っているので大丈夫です」

 頭に描く“架空のチケット”では「悪の1枚」を使い切ったということだ。2大会合計の上位6人が出場できるGPファイナルは絶望的だが、中国杯は18年平昌五輪出場枠を争う三原舞依、樋口新葉と直接対決。どん底に落ちていたSP直後には、16年世界選手権銀メダルのワグナー(米国)の演技を見た。「試合前に自分がそわそわしている時も、落ち着いていてすごく格好良かった。こんな選手になりたい」。憧れている10歳年上の姿は、大切な試合を前に心を入れ替えるきっかけになった。

 復活の兆しをつかんだが、浜田コーチには大会中「練習が合格点をつけられない」と厳しく指摘されてきた。それでも本田は「自分の中ではしっかり練習してきたつもり。そこに関してもっと増やせばいいのか、質のいい練習をすればいいのかは分からない」という。世界で戦うための、試行錯誤は続く。