女子57キロ級の山本杏(23=パーク24)が同階級で5大会ぶり2度目の優勝を果たした。決勝では渡部優花(24)に一本勝ちを収め涙した。低迷した国士舘大時代から再起した背景には園田隆二監督の指導があった。

 苦労人の山本が復活した。決勝開始1分24秒。小外刈りなどの足技で攻め続け、キレのある袖釣り込み腰で一本を決めた。「柔道を辞めようと思ったこともあるけど、監督やチームを信じて救われた」と涙した。

 初出場した中3の講道館杯でいきなり3位。神奈川・桐蔭学園高時代の講道館杯は52キロ級と57キロ級で優勝するなど「期待の星」として注目を集めた。しかし、国士舘大進学後は低迷した。負けん気が強く、負け試合が続くと「気持ちが追い込まれていった」。今年4月、パーク24に入社したことが転機となった。女子は1人で女子日本代表前監督の園田氏の指導を受けた。出稽古に付き合ってもらったり、同じ所属の高藤直寿らと稽古することで世界レベルを体感。技も細かく丁寧に伝授されて、自信を取り戻した。「今日は新たなスタート。五輪という大舞台で(園田氏らに)結果で恩返ししたい」と誓った。