2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は7日、大会マスコット候補の最終3案を公表した。全国約2万1000校・28万クラスの小学生が1クラス単位で今月11日~来年2月22日の期間で投票し、1票でも多い作品が採用される。一般市民の投票で決めるのは五輪・パラ史上初めて。結果発表は同28日。東京大会の顔は、子どもたちが決める!

 「普段は大人たちが決めるのに小学生が決めるなんて新鮮!」。マスコット3案の発表イベントがあった東京・渋谷区立加計塚小の佐藤涼くん(4年)は、興奮気味に話した。

 マスコット審査会の宮田亮平座長(文化庁長官)は、学校現場においての決定過程が従来と逆で「子ども→先生→世界」となり「教育そのものが変わる」と意義を強調。審査員のタレント中川翔子は「アニメ、着ぐるみなどになる。大会後も残り、教科書にも載るかも。たくさん悩んで決めてほしい」と呼びかけた。

 7日までに全国4150校(海外の日本人学校含む)が投票参加の事前登録を済ませ、組織委の予想を上回る勢い。特別支援学校には視覚障害者でも触って分かる模型を配布する。

 旧エンブレムが白紙撤回となった教訓を生かし、選考過程を透明化。さらに、未来を担う子どもたちを参画させたいと、世界初の試みを実行した。

 来年2月28日に1案を決めた後は名前を決める。ただ商標権のハードルが高く、公募ではなくコピーライターなどのプロが練り、複数案を挙げる。その後、審査会と原作者も交えて決め、同7~8月に公表する。

 並行して原案を磨き上げる。五輪・パラで55競技のポーズをデザインする必要があり、身長や手足の長さ、細かい図柄・色は修正する可能性がある。プロフィルや声の有無も同様。ただ中川は「キャラクター大国日本ならではの作画能力」と、原案のレベルの高さを強調した。【三須一紀】

 ◆過去大会のマスコット 五輪初登場は1968年グルノーブル冬季大会(フランス)。パラは80年アーネム夏季大会(オランダ)。84年ロサンゼルス五輪の「サム」は作者指名で制作。92年バルセロナ五輪の「コビー」はデザイン会社4社の指名コンペだった。94年リレハンメル冬季五輪から02年ソルトレーク冬季五輪までは、夏季を合わせ五輪では5大会連続で作者指名。20年東京大会のような一般公募は珍しく、88年ソウル五輪、14年ソチ冬季五輪・パラと例が少ない。