仙台大柔道部の南條充寿総監督(45)と、妻で女子部の和恵監督(45)が24日、仙台市でハンガリー柔道連盟との調印式に臨み、同国の代表コーチに就任した。20年東京オリンピック(五輪)でハンガリー柔道の復権、メダル獲得へ導く覚悟だ。

 16年リオ五輪では日本女子を率いた南條総監督は「メダルを取りに行く集団を僕なりにつくっていきたい」と宣言。同国の選手を仙台大に受け入れて、生徒と練習を組ませることでレベルアップを図る。これまでの経験から「日本代表に13年間携わったが、日本のような粘りがヨーロッパにあれば、かなわないと思っていた」と分析し、長期的な留学を視野に入れて育成を目指す。

 すでに複数のハンガリー選手が仙台大で練習を始めており、「片言の英語でもコミュニケーションできた」と指導に不安はない。さらに、真冬の早朝から、ハンガリーでは珍しいという寒稽古を行い「これによって壁を乗り越えられる」と手応えをつかんだ。

 この日、仙台市で行われた調印式では同国オリンピック委員会のクルチャール・クリスティン会長(46)と柔道連盟のトート・ラスロー会長(57)も同席し、期待の高さをうかがわせた。過去に五輪で9個のメダルを獲得しており、92年バルセロナ五輪では男子95キロ級で金メダリストを輩出。リオ五輪の低迷から巻き返しを図るトート会長は「世界的に見てもいい交渉だった」と夫妻の招集に大満足の様子で、手厚いサポートを誓った。【秋吉裕介】