2月26日から4日間のバルセロナ合同テスト1回目を終えて、トロロッソ・ホンダは全チーム中最多となる324周を走破し、車体もパワーユニットもノートラブルで順調な滑り出しを見せた。

 この4日間で予定していた確認作業は全て完了できたとホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは語った。

 「我々としては主なプログラムは一通りできたと思っています。これからもう1度データを全部見直して、疑問が出る部分や取り残した部分が出てくるかもしれませんがそれは来週のテストに回すとして、基本的に今回やろうとしていたことに対してはほぼ全てクリアできました」

 最終日には1日で147周を走り込み、3日目までにこなしていた基本的なデータ確認やスロットル全開時およびパーシャル(半開き)スロットル時のパワーユニット挙動に加え、レース想定の連続走行時の確認までこなすことができたという。

 「最終日は朝のウエット路面は(グリップが低く)ズルズルでしたけど、逆に言うと実戦であり得るくらいのコンディションでしたから、良いデータになりました。それなりに踏んではいるけど(まだまだパーシャルが多く)、路面が乾いてくるに従って最後は通常の全開走行レベルにまで行きました。全開といっても(フルアタックではない)普通の走行ですけど、最後はそのレベルで連続走行、レースシミュレーション(の一部)をやりました」

 設計や製造の根幹に関わるような大きなトラブルは出ていないが、細かな不具合はもちろん皆無というわけではない。

 「ここが擦れている、ここが当たってる、ここが外れちゃったといったような細かなマイナートラブルはちょこちょことは出ています。新しいクルマと新しいパワーユニットの組み合わせですし、そういう細かな問題点を洗い出すことが目的でもありますから。信頼性の面においてそういった細かな部分も熟成していけていると言えます」

 車体側は基本的なデータ収集が終わってようやくこれからセットアップの熟成に入るところ。パワーユニット側も、予選モードなど攻めたマッピングはこれから。3月6日から9日の最終テストでは車体側もパワーユニット側も新パーツが持ち込まれ、予選シミュレーションも含めたパフォーマンス面に目を向けたテストも始まる。

 「性能面についてはまだまだ見えてきていません。もちろん我々の中ではターゲットを定めて開発とテストをしていますが、今はまだそこは『1歩1歩』という表現にさせてください」

 テスト1回目はタイヤに熱が入らないほど寒いコンディションであったため各チームとも本来の実力は出し切っておらず、まだはっきりとした勢力図は見えていない。そんな中でテスト2回目でトロロッソ・ホンダがどのようなポテンシャルを見せるのか注目が集まる。(米家峰起通信員)