2日に開幕したテニスのウィンブルドンでも、サッカーW杯(ワールドカップ)日本-ベルギーの試合に、両国報道陣が一喜一憂で盛り上がった。ロンドン時間午後7時のキックオフを前に、メディアセンターに隣接するメディアバーには、両国の報道陣が続々と集結。ベルギー報道陣は、サッカー代表のユニホームを着て、ソファに、国旗の色の黒、黄、赤の布を掛け、準備万端。日本報道陣も、負けじと、日本から持参したおかきの封を開け、手作り日の丸で臨戦態勢に入った。

 ウィンブルドンで、両国のテニス選手に対し、記者の公平性を保つためにも、テニス担当記者は表立って応援はできない。しかし、今回は自分たちの担当ではないサッカーだけに、思い切り歓声と悲鳴がこだました。

 日本は惜しくも逆転負けを喫したが、非常にスリリングで面白いプレーに、両国報道陣だけでなく、それ以外の報道陣もくぎ付けになり、両国に声援を送った。ウィンブルドン取材は30年ほどになるが、これまで、松岡修造のベスト8、伊達公子のベスト4、杉山愛のダブルス優勝など、多くの好成績があった。しかし、前述したように、担当記者として喜びはなるべく抑え、取材をしなくてはならない。だから、この日は、日本報道陣が最も盛り上がった一夜だったことは間違いがない。敗れたとはいえ、サッカーそのものが興奮し、面白かったことだ。それが、日本のスポーツの大きな財産にもなる。

 我々報道陣も、サッカーの代表サポーターと同様、興奮し食い散らかしたピザ、ビール、おかきなどのつまみの残骸を、きれいにしてメディアセンターに戻ったことだけは記しておきたい。この悔しさは、ウィンブルドンの日本選手の活躍で晴らしたいと思う。