体操女子リオデジャネイロ・オリンピック代表の宮川紗江(18)が29日、自らへの暴力行為で日本体操協会から無期限の登録抹消と味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)での活動禁止処分を科せられた、速見佑斗コーチ(34)に関する一連のパワハラ騒動について、都内で会見を開いた。

宮川は冒頭で起立してコメントを読み上げた。「今、現在、さまざまな報道を語る中で、私の言葉で真実を語りたく会見を開きました。ウソ偽りなく語ります。速見コーチの暴力行為に関し、過去を振り返り考えました。厳しさの中にも優しさ、楽しさがあり、金メダルを目標に頑張ってきました。基本的に『いつか、必ずすばらしい選手になれる』と言い、具体的に説明してくれる。今日も早く練習に行きたいと思わせる要素があり毎日、楽しい」と速見コーチの指導を評価した。

その上で、速見コーチの暴力行為について「事実としてたたかれたことはあります。いずれにしろ1年以上前。今はそういう行為はない。今後も暴力行為を許すつもりはありません。コーチも、そういう行為があったことは反省しています」と暴力行為があったことは認めた。

その上で、一連の報道の誤りを指摘。「馬乗りになって殴打は1度もありません」「髪の毛を引っ張ってひきずられたこと、たたかれて傷を負ったことはありません」などと反論。そして「私は速見コーチと一から出直し、再出発したい」と同コーチとの再出発を熱望した。

騒動の発端は、速見コーチの暴力行為を複数人が目撃し、報告を受けた日本体操協会が調査し、速見コーチ本人に聞き取りしたところ認めたため、今月13日付で無期限の登録抹消処分に至り、15日に懲戒処分を発表したことだった。

それに対し、宮川は21日に代理人弁護士を通じて直筆の文書を発表。「私は8年間、速見コーチとともにオリンピック金メダルを目標に毎日、家族のサポートを受けながら信頼してコーチと頑張ってきました。金メダルという目標は速見コーチとだからで、他のコーチとでは私の望む事ではないし、意味がありません。暴力は良くないことだとはわかっていますが、私は速見コーチに対して、パワハラされたと感じていませんし、今回のことも訴えたりしていません。家族も同じです。報道の内容には真実ではない行き過ぎた内容もあり、私は不安と怒りで自分を保つのがやっとの状態です」と、同コーチを弁護した。

また代理人弁護士は「被害者とされている宮川選手は協会に対し暴力被害を訴えておりません」「怪我や傷を負ったことはありません」などとしており、同コーチの無期限の登録抹消という処分を不服として、8月20日に東京地方裁判所に仮処分の申し立てを行ったと報告した。

宮川は翌22日に、5月に20年8月末までの契約を結んだ、所属先のレインボーから所属を解除された。また27日に都内で始まった、体操女子の世界選手権(10~11月、カタール)代表合宿への参加を、練習に集中できない状態が続き、体調も十分でないことを理由に見送った。世界選手権の代表は5人で、5月のNHK杯の上位6人が代表候補に選出され、合宿や試技会などの状態を見て強化本部が5人に絞る。代表合宿を辞退した宮川は「仲間に迷惑をかける」と世界選手権の代表候補も辞退する。