東北福祉大空手道部が全国予選になる東北大学選手権(東北インカレ=10月8日、宮城県武道館)で4年ぶり3度目の男女団体優勝を狙う。6月中旬の東北大学総体・団体組手でアベック優勝。高橋千春主将(4年)と秀士(ひでと=2年)姉弟が個人組手も制し、アベック2冠を達成した。日本大学選手権(全日本インカレ=11月18日、日本武道館)では男女ともに団体8強入りを目指す選手たちは、東北第1代表で全国舞台に乗り込むつもりだ。
東北福祉大の武道場に気合の入った掛け声が響き渡る。空手道部は12年の体育会加盟後、東北大学総体と同選手権で男子は計6度、女子は計10度の優勝実績を誇る。同大OBで外部監督として創部時から指導している阿部晋二監督(44)は「東北で1位は普通。男女とも(全国)ベスト8以上を目指してほしい」と期待している。
部員23人(男子7人、女子16人)。男女をまとめる高橋千主将は6月の全国選手権の一般女子個人組手で宮城県の女子として初優勝。その1週間後の東北大学総体では、2学年下で弟の秀士と並んで個人と団体組手でアベック2冠に輝いた。東北インカレでは、女子は高橋千主将を筆頭に、各学年に高校時の宮城県優勝者がそろっており6連覇を目指す。4年生不在の男子は4年ぶり3度目の優勝を狙う。阿部監督は「女子は各学年にエースがいる。男子は若いチームなので来年も期待できる。オーダーはよほどのことがない限り変えない。誰とやっても勝てるように力をつけることが大事」と固定オーダーで全国頂点を目指している。
大学選手権の組手は男子5人、女子3人の団体戦で争う。東北大学総体の個人組手で4強を独占した女子は1年時からエースの高橋千主将と日本航空(山梨)で全国高校総体団体2連覇を経験している笠原理子(2年)が軸になる。実力伯仲の男子は秀士と鈴木渉平の2年生2人が中心になる。高橋千主将は「女子は下級生に勢いがあって士気が上がる。(下級生主体の)男子は経験値を上げてほしい」と大学最後の東北インカレに挑む。
高橋千主将と秀士は仙台湾・網地島(宮城・石巻市)育ち。空手5段の同大OBで父の秀一郎さん(57)は日本空手協会の牡鹿支部長で同島の郵便局長も務めている。姉弟ともに子供時代は父から指導を受けた。高橋千主将は鮎川中時代はバレーボール部のアタッカーで、同3年時は特設陸上部の砲丸投げで東北4位。瞬発的な飛躍力とパワーを兼ね備えている。6月下旬の全日本学生選手権の個人組手では2勝を挙げて3回戦進出。蹴り技を得意にする高橋千主将は「(上位と)紙一重で自信になりました。学年に関係なくそれぞれが自分の力を発揮して悔いのない大会にしてほしい」と大学最後の東北インカレに期待している。一方、きざみ突きが得意で、将来の主将候補にも挙げられている秀士も「アベック優勝して来年にもつなげたい」と昨年3位の雪辱を期す。
同大学職員で現役時に主将も務めた瀬谷龍介コーチ(27)も、自ら練習相手になって後輩たちをアシストする。8月中旬には東松島市で夏季合宿もこなし、士気を高めた。明るく楽しくを指導方針に掲げる阿部監督は「好きこそ物の上手なれの言葉どおり、好きでやっている人にはかなわない。楽しくやっている人にはもっとかなわない」と選手たちに自主性を求めている。東北インカレの先には全日本インカレがある。過去最高成績は男女ともに2回戦止まり。昨年は初戦敗退の悔しさを味わった。全国8強を目指す選手たちは東北第1代表で日本武道館に乗り込む。【佐々木雄高】
◆高橋千春(たかはし・ちはる)1997年(平9)3月20日、宮城・石巻市生まれ。鮎川小1年から日本空手協会・牡鹿支部で本格的に空手を始める。牡鹿中(旧鮎川中)ではバレーボール部と特設陸上部に在籍。角田では3年春の全国選抜(団体戦)に出場。全国空手道選手権の一般女子組手3位。第1回アジア・オセアニア大会で準優勝。全国高校総体では個人組手5位、国体(団体戦)5位。東北福祉大では1年時から全日本大学選手権に連続出場。家族は祖母、両親、弟。167センチ、63キロ。血液型B。
◆高橋秀士(たかはし・ひでと)1998年(平10)5月7日、宮城・石巻市生まれ。鮎川小1年から日本空手協会・牡鹿支部で本格的に空手を始める。同4年時に県大会優勝で全国出場。牡鹿中(旧鮎川中)では軟式野球部に在籍し、投手兼内野手。宮城水産では3年時に主将を務め、東北高校総体の団体戦優勝。東北福祉大では1年時に東北大学選手権(団体戦)優勝で全日本大学選手権出場。国体の成年軽量級に出場。家族は祖母、両親、姉。180センチ、70キロ。血液型B。