ショートプログラム(SP)2位と出遅れた平昌五輪銀メダリストの宇野昌磨(20=トヨタ自動車)がフリートップの188・38点を記録し、合計277・25点で逆転優勝を果たした。2連覇を達成し、シリーズ上位6人が進むGPファイナル(12月6~9日、カナダ・バンクーバー)への4年連続出場に前進した。3月の世界選手権で5位に入った友野一希(20=同大)はフリー139・20点の合計220・83点で9位だった。

滑り終えた宇野は酸素を求めるように口で息をし、前傾姿勢をとった。呼吸を整えることに苦労するほど、疲労感がにじみ出る。それでもSPを終え「後悔と悔しさでいっぱい」と振り返った男の演技に、五輪銀メダリストの意地がにじみ出た。

冒頭から結果的に回転不足となったが4回転サルコーを着氷。高難度の4回転フリップは出来栄え点(GOE)で3・77点の加点を導き、4回転トーループも決めた。4回転-2回転の連続トーループ、前日のSPで転倒したトリプルアクセル(3回転半)も成功させ、得点を次々に加算。新フリー「月光」を丁寧に表現した。

最終盤は3連続ジャンプの最後や、サルコー-トーループの連続3回転ジャンプでミスがあったものの、要素が凝縮されたプログラムを質高く滑りきった。スケーティング技術などが問われる演技構成点も5項目のうち、2つで9点台(10点満点)を記録した。

今季初戦のロンバルディア杯(9月、イタリア)で新ルールを初体験。4分30秒から4分に演技時間が短縮されながら、要素はジャンプが1本減っただけのプログラムをこなし、足がぐらついた。「思った以上にきつかった」。それでも競技を引退している織田信成(31)の奮闘に刺激を受けたジャパン・オープン(10月、埼玉)を経て、GPシリーズ初戦できっちりと仕上げてきた。

次戦はGP第4戦NHK杯(11月9~11日、広島)。自国開催の声援を受けて、GPファイナルに手をかける。