ショートプログラム(SP)首位発進の紀平梨花(16=関大KFSC)が233.12点で初優勝を飾った。05年浅田真央以来となるGPデビューシーズンでのファイナル制覇の快挙となった。SP2位で平昌(ピョンチャン)オリンピック(五輪)金メダルのザギトワ(ロシア)は226.53点で2位。

演技後の一問一答は以下。

-今日の演技について

「1つ目のアクセルはミスだったけれど、そこから切り替えができた。緊張感もあったけれど、うまく集中に変えて、後はうまくジャンプできたのが良かったです」

-GPファイナル優勝をどう考えているか。シーズン始まる前は考えることができていたのか

「今シーズンうまくいっている原因は昨シーズン、一昨年と本当にたくさん失敗して、学ぶことがあった。もう1度そういうことはやりたくないって全ての試合を臨むことができた。そういう失敗をイメージして『絶対やだな』って思って、試合に集中することができるようになった。今シーズン始まるときは全然ファイナルのことも考えていなくて、とりあえずGPシリーズでいい成績を残したい思いと、練習はうまくいっているので、それを出したいという思い。全然想像はしていなかったけれど、練習を頑張ってきて、良かったなって今は思います」

-今後について

「今シーズン始まってから、NHK杯でもすごくいい点数を出すことが出来て、SP、フリーで完璧なのをそろえれば、表彰台に上れると思っていた。ちゃんと自分の目標にしていたSP、フリーそろえるということを、1つはミスがあったけれど、うまくまとめることができた。今はどの試合でも安定した成績を出すことは大事。まだ今は全日本もあるし、来シーズンもずっと頑張りたい。やっぱり北京オリンピック(五輪)で優勝っていう夢があるので、モチベーションは良い状態。それまでは安定した成績を残せるようにって思っています」

 

 

 

 

 

演技後のインタビューでは「ファイナル優勝は思ってもみなかった。今年はどんな大きい試合でも気持ちをコントロールできた。(今日も)今やっていることを出せた。(優勝は)全然プレッシャーにならず、これから頑張ろうと。プレッシャーでなく自信になる」と堂々と話した。

冒頭から代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は着氷時に両手をついてしまったが、焦らない。続く3回転半からの連続ジャンプは成功させた。その後もリズミカルで切れある演技を続け、7本中6本のジャンプを決めた。

SPでは2位で平昌(ピョンチャン)オリンピック(五輪)金メダルのザギトワ(ロシア)に4.58点差をつけていた。ジャンプで回転不足のあったザギトワとは対照的にSP同様、フリーでも平常心を保ち、会心の滑りをみせた。

自分を知ることでトリプルアクセル(3回転半)の高い成功率につなげてきた。キーワードは「筋肉」。16年9月に国際スケート連盟(ISU)公認大会で女子世界7人目となる成功を果たしてからも、ジュニア時代は試行錯誤の日々が続いた。安定性を求めていく過程で「最近は筋肉の調整の仕方が分かってきた」と1つのポイントを見つけた。

日常生活だけでなく、飛行機での移動、疲れの蓄積…。「調子が悪い日とかは結構筋肉の感じが違っていて、だるくて、タイミングが分からなくなったりする。逆に緩すぎて、力の入れ方がおかしくなったりとか、そういうところで苦戦していた。例えば、だるい時はほぐしを多めにして、次の日に備えていくようになりました」。運動の強度、ストレッチの方法などを考え、16歳は自分の体と常に向き合う。

世界の実力者6人が集ったGPファイナルを経験し、ここからはシーズン後半戦へと突入する。目の前のプログラムと並行して、4回転トーループやサルコーも練習中。シーズン前には「4回転を習得して、北京には合わせていけたらいいなと思っています」と誓った。平昌五輪出場は年齢制限でかなわず、常に意識するのは22年北京五輪。未完の大器が目指すゴールは、まだまだ先にある。