ショートプログラム(SP)2位で5大会ぶり出場の高橋大輔(32=関大KFSC)がフリー151・10点、合計239・62点で2位に入り6大会ぶりの表彰台となった。だが、世界選手権代表は辞退した。

7月に4年ぶりの現役復帰を表明。その時から、目標としてきたシーンが実現した。宇野昌磨、田中刑事らと同じ最終組で午後2時25分からの公式練習に臨み、4回転トーループを着氷させるなど、生き生きとした表情でその場の空気感を楽しんだ。

本番では冒頭の4回転が3回転トーループになったが、続くトリプルアクセルと2回転トーループは見事に着氷した。その後、得意の3回転フリップの着氷で手を突き、連続ジャンプで転倒もあったが、会場の熱を存分に味わった。

「自分の演技を終えたとき表彰台はないな、と思ったのでまさかの2位。正直驚いています。4回転が決まりだしたのが全日本が始まる前だった。6分間練習でいいジャンプが跳べたので挑んだけど中途半端になった。この何日間かフリー終わるまで充実した期間をすごせた。緊張感の高い中ですごせる喜び感じた」。演技を終えた高橋は本調子とはいかなかったが、すがすがしい表情を浮かべた。

2日前の22日にはSPで超満員の観衆に囲まれ、感じたという。「『試合っていいな』っていうのを復帰からずっと感じてきた。全日本は力を出し尽くす戦いになる。やっぱりこの場所は居心地がいい。できれば『長くやっていけたらな』と思うような感じがありました」。競技から離れていた4シーズンの間、男子は急速に4回転時代へと突入。表現や卓越したステップで沸かせた高橋は、今の自らの考えを、こう明かす。

「今まで現役でいた時よりも『何を見せたい』『どういうものを伝えたい』とかが、本当にないぐらい『自分のできる姿を見てもらえたらうれしい』と思う。スケートは時代もどんどん変わっていきますし、フィギュアスケートっていう概念自体も、時間とともに変わっていく。この時代にそぐうスケートにどれだけ近づけるのか、というのを考えて、今シーズン頑張ってきました」

フリー最終組入りが決まったSP後に掲げた目標があった。「『高橋大輔、いいな』って、応援してくれる人もそうですし、今回たまたま見た方にも思ってもらえたら、また新たに自信につながると思います」。32歳の高橋だからこそできる演技で、その思いを発信した。