昨年の覇者で世界1位の大坂なおみ(21=日清食品)が、見事なリベンジで、2連覇に向け好発進だ。同65位のムラデノビッチ(フランス)に6-3、6-4のストレートで勝ち、3回戦で同25位のコリンズ(米国)と対戦する。1月の全豪優勝後、初めて出場した2月23日閉幕のドバイ選手権初戦でムラデノビッチに敗れていた。

   ◇   ◇   ◇

大坂が、新女王として記念すべき初勝利だ。緊張と重圧を振り払い、ドバイの雪辱に成功。90、91年と連続優勝したナブラチロワ(米国)以来の大会2連覇に向け好発進となった。「超ナーバスになった。でも勝つことだけに集中した」。勝利の瞬間、何度も左手でガッツポーズ。珍しく喜びを爆発させた。

ドバイの敗戦から「多くのことを学んだ。うまく修正できた」という。ドバイでは、「人生で初めて」7度もサービスゲームを落とした。その要因ともなった19%の得点獲得率しかなかった第2サーブを工夫。55%の確率でポイントに結びつけ、この日は、1度しかサーブを失わなかった。

新コーチとして、ジャーメーン・ジェンキンス氏を迎えた初陣でもあった。第1セット終了時には、初めてコーチを呼んだ。「とても緊張している」。新コーチの初アドバイスは「緩急を使ったサーブもいいし、グレートだ。何も悪いことはない。ポジティブにいこう」。にっこり笑い、そのまま押し切った。

ドバイ大会の前には「目立つのは好きではない。スター扱いは苦手」と、世界から注目を浴びる女王の苦悩をあらわにした。しかし、今大会初戦前にSNSで長文を公表。「テニスだけじゃない。次世代の子の手本となることが大事だと気づいた」と、女王の自覚も芽生え始めた。

精神的に安定すれば、ポテンシャルの高さは無限だ。女王の自覚、新コーチとすべてが整い、新たな大坂なおみが、初のタイトル死守に立ち向かう。