体重無差別で争う、柔道の全日本選手権を初制覇した、17年世界選手権男子100キロ級覇者のウルフ・アロン(23=了徳寺学園職)が30日までに、トレードマークの胸毛を生やす意向を示した。

29日、東京・日本武道館で行われた全日本選手権後、ウルフは「胸毛を剃(そ)ると、生やすのに力が必要と聞いたため剃らないようにした」と説明した。近年、大舞台前には、験かつぎと清潔感を求めて剃っていた。しかし、4度目の挑戦となった全日本選手権は最重量級の強豪と対戦するためか、体力温存の意味も込めて剃らずに臨んだ。そのかいあってか、初戦の2回戦から準決勝まで4試合連続で一本勝ちするなど圧巻の勝利を見せ「今後も名前の通り、ワイルドな感じでいく」と生やす方針を示した。

17年世界選手権前にバリカンで胸毛を刈って初優勝。周囲からも高性能の脱毛クリームを勧められ、験かつぎとして18年世界選手直前も剃るべきか悩んだ。最終的に剃って5位に沈んだが、「結果と胸毛は関係ない」としていた。

男性アスリートの脱毛は決して珍しくない。近年、男性の美意識の高まりなどを受け、全国的に男性専用の脱毛サロンは増加傾向にある。脱毛するスポーツ選手も多く、競泳選手は水の抵抗を減らすため、サッカーやラグビー選手はテーピングをはがす際の予防や、毛による摩擦から肌を守るためなどの理由で脱毛している。

ちなみに、ウルフのライバルであるアジア王者の飯田健太郎(20=国士舘大)は「男らしさ」を出すために胸毛を生やしている。“体毛問題”に関しては、競技の特性や個人の問題などさまざまな事情があるが、格闘技である柔道において、容姿から「強さ」を表すのは重要なのかもしれない。