世界ランク2位の強豪に大敗する中、CP徳田新之介(23)が7ゴールでスタンドを沸かせた。

178センチとハンドボール選手としては小柄ながら、2メートル級がずらりと並ぶ相手にスピードで対抗。カットインから横の動きでマークを外してシュートを決め「(シグルドソン)監督からも狙っていけと言われていた。そこは評価できる」と話した。

もっとも、試合は大敗。守備では相手のパワーに圧倒される場面も多かった。「10点以上の差をつけられて、悔しい。もっと得点しないと」と反省。「技術的な部分では負けていないと思うけれど、力の差は感じた。成長しないと、いけない」と真剣に言った。

昨年、筑波大卒業と同時に渡欧した。ハンドボール強国ハンガリー1部のダバシュに加入。1年間本場でもまれたが、今年7月からは豊田合成と契約して日本リーグでプレーすることを決めた。「すごく、悩みました。でも、東京五輪のために決めた」と説明した。

ハンガリーなど欧州に残る道もあった。複数クラブからのオファーもあった。それでも、強化合宿や試合などが続く中、参加しやすい日本所属を選んだ。フランスから帰国して7月から日本リーグの大崎電気でプレーする土井杏利主将とも話し合った。「東京五輪で活躍し、また向こうのクラブにいきたい」。五輪のために下した決断だった。

俊敏な動きで相手を翻弄(ほんろう)し、トリッキーなシュートをゴールに突き刺す。「1年間、欧州で体の使い方など成長できたと思う。大きい選手とやるのは楽しい。フェイントや緩急の動きを磨いて、もっと活躍したい」と話す。

東京五輪まで、あと1年と少し。「1年しかないと思っています。日本でプレーしてハンドボールを盛り上げたい。多くの人に試合を見てほしい」と徳田新之介。「周りからは、暴れて欲しい、って言われるんです」。男子日本代表の「暴れん坊将軍」は、東京五輪を楽しみに言った。