佐藤幸椰(24=雪印メグミルク)がヒルサイズ超えの大ジャンプを2本そろえ、合計244・3点で優勝を果たした。札幌大会を日本人男子が制したのは、チームメートの伊東大貴(34)が12年に2連勝して以来8季ぶり。

今季ワールドカップ(W杯)初勝利を挙げた身長161センチの小柄なジャンパーが、昨季個人総合覇者の小林陵侑(23=土屋ホーム)の前で今季、通算ともに2勝目を挙げた。

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佐藤幸が地元開催の大会で、表彰台の真ん中に立った。両サイドに並んだ欧州選手に比べると、台の高さが違うだけに、余計に小柄さが目立つ。君が代が流れると、目を閉じ、歌い上げた。観客からの声援に勝利をかみしめた。「日本のジャンプファンに喜んでもらえてうれしい」と笑みがこぼれた。

5人抜きの逆転Vだった。1回目、風速2メートル以上の向かい風に乗って137・5メートル。6位で折り返した。2回目も好条件下で138・5メートルまで伸ばすと、1回目のトップ5は、だれも佐藤幸に及ばない。「(条件が)フェアではなかった」と素直な思いも口にしたが、2本のヒルサイズ越えをそろえた勝負強さは本物だった。

今季、キャリアの転換期を迎えている。高校総体で3連覇し、同世代NO1の実力を示して14年に雪印メグミルク入り。だが、シニアではなかなか国内トップ勢に追いつけず、18年平昌オリンピック(五輪)代表入りもできなかった。そんななか、昨季1学年下の小林陵がW杯個人総合で優勝。「間違いなく刺激になった」と、士気を高めた。社会人6年目の今季、昨年12月のニジニタギル大会(ロシア)で初めてW杯覇者となり、自信に満ちている。

小さな身体でビッグジャンプを繰り出す。身長でスキー板の長さが決まるジャンプにとっては、長身選手の方が有利とされるが「僕は関係ないと思っている」と意に介さない。所属先の原田雅彦監督は「練習に一生懸命でこだわるタイプ。今年は成長を感じる」と、頼もしく見つめている。

個人総合は14位から9位に順位を上げ、トップ10入りした。2日はチームの先輩、伊東以来8シーズンぶりとなる札幌での連勝はなるか。「チャンスは僕しかない」と、果敢に優勝を狙う。【保坂果那】

○…小林陵は1回目ヒルサイズを超える最長不倒141・5メートルの大ジャンプで首位発進。佐藤幸との日本勢1、2フィニッシュが期待された2回目だったが、風に恵まれず110メートルと失速し、15位まで順位を落とした。「ジャンプって難しいと思いました」。札幌2連戦最終日の2日へ、所属先の監督でもある葛西と並ぶ日本男子最多17勝目を目指して「表彰台、優勝を目指して頑張ります」と前を向いた。