新型コロナウイルス感染拡大で東京オリンピック(五輪)は延期となった。選手が来夏の祭典で獲得を目指す五輪メダル。各競技でどのような歴史が刻まれてきたのか。「日本の初メダル」をひもとく。

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男子は1964年東京五輪で初採用され、軽量級の中谷雄英が金メダルを獲得した。

競技発祥国の先陣を切り、全5試合をオール一本勝ち。準決勝は優勝候補のステパノフ(旧ソ連)、決勝はヘンニ(スイス)をともに合わせ技で下すなど計9分で終えた。日本武道館のセンターポールに柔道で最初の日の丸が揚がった。

当時は「全4階級優勝が当たり前」「柔道=無差別」という風潮で、中谷は「表彰台の真ん中に立って『俺の任務は終わった』という気持ちだった。金メダルはうれしかったけど、涙が出るほどでもなかった」と振り返っていた。中谷に続いて、中量級の岡野功、重量級の猪熊功と順調に金メダルを獲得したが、最終日の無差別級決勝で神永昭夫がヘーシンク(オランダ)に敗れた。この瞬間、柔道がJUDOへと変わった。

女子は88年ソウル五輪で公開競技として初実施され、48キロ級で江崎史子が銀メダルを獲得した。千葉・八千代松陰高2年時の16歳で五輪出場を果たし、田村亮子を破った最後の日本人選手としても知られている。92年バルセロナ五輪から正式競技に採用された。