新型コロナウイルス感染拡大で東京オリンピック(五輪)は延期となった。選手が来夏の祭典で獲得を目指す五輪メダル。各競技でどのような歴史が刻まれてきたのか。「日本の初メダル」をひもとく。

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男女日本勢でメダルはない。女子は00年シドニー五輪で初採用された。16年リオデジャネイロ五輪で朝長(ともなが)なつ美(28=警視庁)が、日本勢過去最高の12位を記録した。

警察官だった両親の背中を追って、埼玉・川越南高卒業後に警視庁の採用試験に合格。直後の10年4月、54歳の父省治さんを食道がんで亡くした。中学で競泳、高校で陸上に打ち込み、スポーツ万能だったが、「県大会レベル」で不完全燃焼だった。警察学校時代に1500メートル走で女子歴代1位の4分55秒を記録し、近代五種部にスカウトされた。「母を五輪に連れていけたら少しは元気が出るかな」と思って、12年11月に本格的に競技を始めた。すぐに頭角を現し、14年全日本選手権を制覇。15年アジア・オセアニア選手権ではアジア5位となり、初の五輪切符をつかんだ。リオ五輪では、父の形見となった勤続30年記念の万年筆をお守りにして臨んだ。右肘手術などを乗り越え、競技人生最後のゴールを東京五輪に決めた。「金メダルを取るのは自分しかいない」。強い覚悟を持って、2度目の大舞台を見据えている。

男子は1912年ストックホルム五輪から採用された。68年メキシコ五輪15位の槙平勇荘が最高。