バスケットボールBリーグの島田慎二チェアマン(49)は21日、新人選手研修に出席し、スポーツビジネスについて語った。

若くして会社経営などに携わってきた島田氏は冒頭「リーグ経営をする中で一番の財産は君たち。オフコートで報酬や年俸を増やしていくにはどうしたらいいのか」と語りかけ、講義のほとんどをビジネスについての話に費やした。

「クラブ収入の7割がスポンサーとチケットであることを忘れないで欲しい。自分たちのプレーをお金を払って見てもらえるようになれば、それが給料に還元される」と説明した。

認知度を上げるため、SNSでの発信も勧めた。「バスケット界だけでなく、スポーツ界も含めて社会の動きに関心を持って欲しい」。

さらにビジネスで収益を得ている例として、サッカー元日本代表の中田英寿氏やブラジル・ボタフォゴでプレーする本田圭佑の活動を例に挙げた。「どうやってキャラ作りをして売り出していくかが大事」と促した。

新型コロナウイルスの影響で10月からの新シーズンでは人数制限での開催となるため、クラブ経営が厳しくなる可能性がある。「1クラブも破綻させない」という方針の島田氏はすでにクラブに7億6000万円を支援することを発表している。

さらにチケット収入の減少を補うため、ネット中継での視聴者数を増やし、収益を得る方針を打ち出した。島田氏は「(視聴者数を)50万人に増やす」と大きな目標を掲げ、スポンサーであるソフトバンク社と協力して新しい応援スタイルの確立や、視聴者が直接対価を払う投げ銭システムの導入などさまざまなコンテンツを計画中。ユニホームのパンツ部分には「コロナ特別枠」として広告スペースも設けた。

「試合がないとスポンサーも付かなくなる。何としてでも試合をやって視聴者を増やしていく」と考えを明かした。

島田氏は「クラブもリーグ側も努力が必要。興味なかった人たちが見てくれるようになれば、数年後には新たなマーケットを広げられる。我々もビジネスとして頑張るので皆さんにも協力してもらいたい」。

難局を選手とともに乗り越えるため、1年目のBリーガーたちにビジネスマンの魂を注入した。【松熊洋介】